コンテンツにスキップする

ローム社長、半導体生産の海外移転「検討の余地」-再生エネ負担

更新日時
  • 高いコストに地震など地政学リスク、「生産増強できない状況も」
  • LSIやパワー半導体フル生産も受注残解消は23年に差し掛かりそう

半導体メーカー、ロームの松本功社長は、ウエハーに回路を形成する前工程の半導体生産について、国内の割高な再生可能エネルギーコストや地政学リスクを考慮すると、海外移転も「検討する余地がある」との考えを示した。

  松本社長は25日のインタビューで、日本は再生エネコストが「非常に高い」と指摘。もともと地震国で、豪雨などの自然災害も頻発しており、「生産が国内で増強できないという状況に陥るのではないかと思っている」と述べた。

Rohm Co. CEO Isao Matsumoto
ローム・松本功社長
Source: Rohm Co.

  政府が2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロとする方針を掲げる中、国内の製造業は再生エネによる電力調達などを進めている。ロームは30年度のCO2排出量を18年度比で30%削減し、50年度には再生エネ導入比率を100%とする目標を掲げる。

菅政権グリーン戦略、原発増強の決断迫る-震災後のタブー破るか

  トヨタ自動車の豊田章男社長も3月の会見で、火力発電に大きく依存する日本の状況を受け、「CO2排出の少ないエネルギーで作れる国にシフトしていこうという動きが出てくる可能性がある」と述べていた。

  ロームでは現在、前工程の半導体を国内拠点で生産している。工場は原則24時間稼働で、再生エネコストの安い電力の安定的な確保が利益率なども左右する。ブルームバーグNEFのリポートによると、例えば日本の太陽光発電コストはドイツや米国、中国より2-4倍高い。

  ただ、松本社長は、海外では国や地域によりインフラの不備などで電力供給が不安定になるケースがあるとも指摘。新型コロナウイルスの感染急拡大や異常気象による影響もあり、拠点の多様化による生産体制拡充の重要性も訴えた。

半導体不足

  ロームは車載や家電、スマートフォンに搭載するパワー半導体や大規模集積回路(LSI)を生産する。半導体をチップに切り出し、完成品に組み立てる後工程の工場は中国やタイ、フィリピン、マレーシアなど大半が海外にあり、昨年9月以降は全工場でフル稼働を続けている。

  松本社長は、フル生産でも「今のお客様からの需要はそれを上回っている状況」と説明。この傾向は当面続くとみており、受注残の解消時期は「23年に差し掛かるかもしれない」との見通しを示した。トヨタなどの自動車メーカーは半導体やその他の部品不足で減産に追い込まれている。

  現在は自社工場の稼働率は落ちていないものの、マレーシアではサプライチェーンが新型コロナの影響を受けていると指摘。このため取引先と情報共有しながら、「早目の納入」をしてもらうことなどで厳しい状況をしのいでいるという。

  業績拡大には電気自動車(EV)の普及が追い風になるとみており、「23年以降、環境課題を解決できるようなデバイスが大きく伸びるだろう」と話した。ロームは26年3月期に売上高4700億円(21年3月期実績は3599億円)、営業利益率17%超(同11%)の達成を目指す。

  ブルームバーグのデータによると、ロームの主要顧客はトヨタや日産自動車ホンダ、米フォード・モーター、デンソーなど自動車関連企業をはじめ、アップル、三菱電機、ソニーなど幅広い。

(半導体生産に関する松本社長のコメントを追加して記事を更新します)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE