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MUFGの機関投資家事業、人材採用が奏功-リスクは若手報酬高

更新日時
  • プロジェクトファイナンスやABS強み、計画比で2割プラスと順調
  • 人材の育成と確保が最大の課題、米国で若手バンカー報酬引き上げも

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の機関投資家向けビジネスが好調だ。プロジェクトファイナンスなどの強みを持つ分野を生かし、事業計画で立てた目標を全体的に上回るペースで推移している。当面のリスクは世界的に報酬が高騰する若手バンカーの待遇が今後の人材確保に与える影響だ。

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宮地正人氏
Source: MUFG

  グローバルCIB事業本部長を務める宮地正人執行役専務はインタビューで、2023年度までの3年間の中期経営計画で柱の一つと位置付ける機関投資家ビジネスは、専門人材の知見活用なども奏功し、これまでのところ「KPI(計画指標)対比で2割プラス」の順調な進捗(しんちょく)だと明らかにした。

  過去10年間、リーグテーブルで上位を維持するプロジェクトファイナンスのほか、航空機ファイナンス、アジア地域での自動車ローンやクレジットローンなどの資産担保証券(ABS)が強みとした上で、それらを債券などの商品にして機関投資家に販売できることが差別化につながると指摘。米国を本拠地とする機関投資家からはアジアの情報を持つ点も評価されていると述べた。

  MUFGでは、アセットマネジメント会社など約120社の機関投資家を重点注力先として投資資産担保の貸し出しを行い、貸し出しを起点にした債券やデリバティブの取引のほか、顧客である機関投資家が出資する非公開企業に対する貸し出しや債券引き受けなどを展開。機関投資家ビジネスで自己資本利益率(ROE)10%程度の収益性を目指す。

  グローバルCIB事業本部は、世界的に事業を展開する大企業の顧客に商業銀行と証券機能を合わせたソリューションを提供しており、事業本部全体のROEを20年度の3.6%から23年度には7.5%に引き上げることなどをKPIとしている。また、M&A(企業の合併・買収)ファイナンスなどで協業してきた米モルガン・スタンレーとの連携で機関投資家領域でもさらなる発展を狙う。

リスク管理の深化   

  機関投資家ビジネスを本格展開するに当たって、宮地氏はリスクの許容度を規定する「リスクアペタイトフレームワーク」をこの2年間で大きく変えたと述べた。原動力となったのは、15年に米州部門に初の米国人トップが就任して以来、北米部門で採用してきた専門人材の知見だ。

  従来は、各部門で提示や承認を繰り返していたリスク判断のプロセスを、「コミッティー(委員会)で全てを議論して最終的な合意形成」をする形に変更。ローン担保証券(CLO)の貸出枠の提供や発行サポートも手掛ける体制が整い、競合する米JPモルガンなどとも伍する事業展開ができていると述べた。

  一方、事業の拡大を図る上で最大の課題は「人材の育成と採用」だと宮地氏はみている。新型コロナウイルス禍での緩和的な政策で金融市場が過熱気味となる中、米国を中心に投資銀行は若手バンカーの確保に向け相次いで報酬の引き上げに動いている。ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン、バンク・オブ・アメリカ(BofA )など事実上全ての投資銀行が報酬を引き上げた。

  グローバルに業務を展開するMUFGにも影響は及び、米国で若手バンカーの報酬引き上げを承認するなど人材確保の施策を進めている。宮地氏は、中期計画の目標前倒し達成を狙う上で、機関投資家ビジネスに関与する約220人について増員も検討したいが、タイミングを含め「何が必要かを見極めていく」と語った。

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