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アフガン撤退、バイデン政権は「大失態」認めて挽回の努力を-社説

アフガニスタンからの米軍撤退に関するバイデン大統領の弁明は、無神経かつ利己的で、著しく説得力を欠いている。何よりも的外れな論理だ。問題はもはや、アフガニスタン駐留を続けるべきだったかどうかではない。嘆かわしいほどの不手際が引き起こしたダメージを、どうすれば最小限に抑えられるかが問題だ。

  ライバル国の嘲笑には行き過ぎのものもあるが、米国の信頼が深く傷ついたことに疑いの余地はない。誠実に奉仕してくれたアフガン人を見捨てた事実は今後、米国が世界のどこかで介入するたびにつきまとう。友人にひどい仕打ちをした米国を見て、ライバル国はほくそ笑む。遠くから監視するのが難しかったテロ組織は、これからは勢力と機動力を増すだろう。この失態から挽回するには長くて痛みを伴う努力が必要になる。

  まずは真実を明かすことから始めなくてはならない。バイデン大統領はこれまでのところ、この失敗を失敗と認めていない。これだけの大失態が失敗でないとすれば、何が失敗に相当するか。バイデン氏は率直になるべきだ。自己弁護のために頑固さを貫くのは賢明ではない。

  次に米国人と協力者を確実に脱出させなくてはならない。米国ビザ(査証)取得に値するアフガン人全員をカブール空港に安全に移動させ、最後の1人が国外に退避するまで空輸を続けることに全力を尽くすべきだ。これには米軍のために直接働いたアフガン人だけでなく、公式には第3国からビザを申請するであろう米報道機関や支援団体と関係のある人々も含まれる。かつて南ベトナムやキューバを対象とした人道主義に基づく特別措置を、新たに整える必要がある。

  同時に難民危機の拡大を防ぐため、世界的な取り組みを推進することが米国に求められる。アフガン隣国のイランやパキスタンは、これ以上の難民受け入れを拒否し始めている。欧州諸国は亡命希望者に西側を目指さないよう警告している。米国は相応の難民を受け入れるという行動で、模範を示さなくてはならない。国連の難民支援活動を助けるために、寄付を呼びかけることも大切だ。来週開かれる主要7カ国(G7)会合では、ベトナム戦争後のインドシナ難民のために創設したようなアフガン人定住計画を提唱するべきだ。

  一方でアフガンに残った人々への支援も必要になる。今年だけで55万人を超えるアフガン人が住居を失っている。米国は国連や支援団体の資金拡充を助けるだけでなく、安全保障理事会のパートナーと力を合わせ、タリバンの監督下でも支援物資が行き渡るように確実を期さなくてはならない。

  タリバン支配下で拡大するであろうテロの脅威についても、米国は認識を深める必要がある。「ジハード」復活の兆しを把握すべく、情報当局のリソースを再配分し監視を強化しなくてはならないだろう。パキスタンやロシア、中国はワシントンとは異なる立場にあるが、過激派の勢力復活を恐れることでは同じだ。危険な組織を押さえ込むためタリバンに圧力をかけるよう協調するのが望ましい。

  最後に提言しておきたい。バイデン政権は同盟国や協力国との信頼を回復させる包括的な取り組みに着手するべきだ。カブール陥落後に同盟国と話さなかったバイデン氏の失態に弁解の余地はない。やり直すための近道はない。立派な演説や民主主義サミットでは、成し遂げられない。

  例えば新たなテロの脅威に身構えるインドを、米国が支援することも考えられる。米国は「クアッド」と呼ばれる日米豪印4カ国や北大西洋条約機構(NATO)に戦略支援を期待するというより、むしろインドの不安の声にもっと誠実に耳を傾ける必要が生じている。欧州とは不要な貿易摩擦を排除し、アジア諸国とは真剣な貿易交渉に入ることで、米国との関係強化は明確に有利だと見せつけなくてはならない。サイゴン陥落後にソ連が米国の決意を試したような事態が再び起きれば、米国はちゅうちょせず賢明に対応しなくてはならないだろう。

  後退した分を取り返すのは時間と労力とリソースを要する。同盟国との緊密な協調も必要になる。その作業は今からだ。

原題:Can the U.S. Recover From the Afghanistan Debacle?: Editorial(抜粋)

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