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ラボ生まれのダイヤモンド、ESG意識高い女性中心に日本でも浸透中

  • 世界生産量は昨年600万-700万カラット、10年後には3倍の可能性も
  • 経済的・環境的・倫理的と販売業者、ジュエリー協会は宝石と認めず

天然ダイヤモンドと同じ成分や特徴を持ち、専門家でも見分けがつきにくいラボ(研究室)で生成される「ラボグロウンダイヤモンド」。天然ダイヤモンドの5割以上安い価格で販売されていることもあり、海外だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)意識の高い女性を中心に日本でも受け入れられつつある。

  ラボグロウンダイヤモンドは薄いチップ状の種結晶が1300度ほどの温度で加熱され、数週間かけて結晶化されて原石となる。近年の技術進歩により、比較的大粒の原石もできるようになり、その品質と純度の高さから、天然ダイヤモンドに代わるものとして今までダイヤに興味のなかった若い世代からも注目され始めている。

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ラボグロウンダイヤモンド「ラウンドブリリアント 12.75カラット 、F VVS2 エクセレントカット タイプ2a」
戸張 綾香 / Morningstar Rise Limited

  米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのリポートによると、ラボグロウンダイヤモンドの世界の生産量は、2020年に600万-700万カラットに達し、大半が米国で販売された。主に中国やその他市場での需要の拡大を見越し、10年後には生産量は3倍になる可能性があると同社は予想している。

  日本グロウンダイヤモンド協会代表理事の石田茂之氏は、ラボグロウンダイヤモンドは「数が少なく買った人が売らない」のでリセール市場がなく、国内ダイヤモンド市場でのシェアは「1%もないと思う」と語った。今後はリセール市場ができるはずで、「これから伸びていくと思う」と同氏は述べた。

  ラボグロウンダイヤモンドをオンラインのプライベートサロンで販売している河村真弓氏は、天然ダイヤモンドと同等の美しさを持ち、さらに紛争ダイヤモンドや採掘の際の環境負荷などの問題がない点を評価。より経済的、環境的、倫理的なラボグロウンダイヤモンドに可能性を見いだして19年秋にビジネスを開始、直近1年間の売り上げは10億円近くに上ったという。

  かつてゴールドマン・サックス証券でクレジット商品を販売していた河村氏は、一生に一度のものではなく、「普段からゴージャスなものをいっぱい身に着けてほしい」と語った。

  河村氏が選んだプラットホームはインスタグラムだ。販売するラボグロウンダイヤモンドをあしらったネックレス、イヤリング、ブレスレットは、プラットホーム上で写真や動画配信ライブを通して紹介され、顧客のほとんどは最高775万円の商品をメッセージのやり取りのみで購入する。

  2800人以上いる河村氏のサロンの顧客である髙橋宏美さん(36)は、「初めて聞いた時は買うなら天然の方がいいのではないか」との懐疑的な考え方を持っていたと打ち明ける。ただ、自分で調べたり、河村氏の動画配信ライブを見たりする中で「現状、歴史、紛争ダイヤの存在を聞き、サステイナブルな考え方」を知り、購入に至ったと語った。

  ダイヤモンド業界最大手のデビアスは、将来を見据えて既にラボメイドダイヤモンドを取り入れている。英鉱業・資源会社アングロ・アメリカン傘下のデビアスは3年前、ラボグロウンダイヤモンドのジュエリーを販売すると発表、人工ダイヤモンドは販売しないとの長年の方針から方向転換した。デンマークのジュエリーブランドのパンドラをはじめとする幾つかのファッションジュエリー販売業者も、ラボグロウンダイヤモンドの販売を始めている。

人工ダイヤモンドを販売へ、デビアスが方針転換-顧客向け文書

  日本ジュエリー協会の加藤久雄常任理事は、「宝石は美しさ、希少性、耐久性が備わっているもの。当協会では人工生産物で希少性がない合成ダイヤモンドを宝石としていない」とメールで回答。国内の既存マーケットプレーヤーや消費者の多くも同じような考えを持っていると説明した。

  しかし、こうした状況を「変えていくのが私の仕事。ここからのブランディングは私たちの手にかかっている」と河村氏は意気込みを語る。高圧・高温の厳しい工程で割れてしまうこともあるため、無事に生成されるラボグロウンダイヤモンドはまさに「奇跡のたまもの」と受け止めている。

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