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「寝そべり族」たたき起こす、習主席の締め付けで浮かぶ中国ジレンマ

  • 学習塾やゲーム、カラオケに至る規制強化-標的は怠惰な若者
  • 中国政府、諸外国に依存しない製造業による「強い」中国目指す

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現代中国における理想の若者像という皮肉を込めた投稿が今月、インターネットで拡散された。

  「社会主義の理念を新しい時代に引き継ぐ若者は、塾は通わず、オンラインゲームに見向きもせず、著名タレントにうつつを抜かすこともない。宿題は学校で済ませ、習近平主席の選書を毎日1時間読み、10時前には就寝し、率先して家事をし、両親には兄弟が欲しいと言い、子育てを手伝う」ー。この投稿は広く拡散された後、当局による検閲の犠牲になった。

  この投稿が浮き彫りにするのは、習近平国家主席が推進する「共同富裕」と富の再分配が一握りのハイテク富豪を押さえ込むことにとどまらない現状だ。学習塾からオンラインゲーム、エンターテインメントを標的に規制を強化し、国営メディアに非難させる。こうした戦略が狙うのは、怠惰なライフスタイルを受け入れ始めた「寝そべり族」などの若い世代を鼓舞し、愛国心にあふれる有能な労働者に変えることだ。

 

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福建省福州市で大学の学生と教員に演説する習近平国家主席(3月)
Photographer: Ju Peng/Xinhua/Getty Images

  若者にホワイトカラーの就職やハイテク企業での出世を断念させるのは、就活のプレッシャー軽減につながる一方で、別の目標達成も助ける。つまり重要な技術革新を達成するのに必要な製造業の基盤を強化するという目標だ。中国は将来の経済成長に欠かせない高性能半導体の確保で米国などに依存せずに済むよう、国内製造業の底上げを目指している。

   上海大学の元教授(政法学)で政治コメンテーターのチェン・ダオイン氏氏は、習主席が目指すのは諸外国の制約を受けない堅強な製造業を基盤にした「強い」中国だと指摘。「皆が猛勉強して無理に大学に進学し、オタクになることは望まれていない。職業訓練校で学び、健康で必要なスキルを身につけ、社会主義建設の担い手になる人がいることを主席は望んでいる」と解説した。

  学業と労働のプレッシャーに耐えられず、過酷な競争から離脱し、手の届く楽な生活で満足する「寝そべり族」と呼ばれる若者が出現している。

  こうしたトレンドは中国政府の目標を脅かす。高齢化に伴い、政府は人口増加と生産性の高い労働力強化を目指している。

  カリフォルニア大学バークレー校のフアン・シュー講師は「ジレンマになっているのは、若者も親も誰もがホワイトカラーの職を望むが、社会には低賃金の職業に就く労働者が必要だということだ」と解説する。子育てや介護、医療、接客サービス業で大量の労働力が必要とされていると指摘した。

 

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原題:Xi Crackdowns Look to Whip China’s ‘Lying Flat’ Youth Into Shape(抜粋)

 

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