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タリバンが「優しさ」アピール、国際社会は真に受けず-課題も山積

  • すでに婚姻の強制や女性差別の報告、「言葉と行動は違う」と識者
  • タリバンの政治力は未知数、「苦しいのはこれから」-専門家

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電光石火の勢いでアフガニスタン政権を掌握し世界を驚かせたタリバンは、週末に「誰も命を心配する必要はない」との声明を発表した。ソーシャルメディアを駆使し、多様性を取り込んだ政府が望ましい、政敵への報復はしない、外交官の安全は保証する、投資家は何も心配しなくてよい、といった聞こえの良い言葉をメディア担当チームを通じて発信している。

  タリバンのナンバー2であるバラダル師は16日、「われわれは思いあがってはならない」と表明。「われわれがいかに住民に奉仕し、安全を守り、可能な限り良い生活と未来を確実にすることができるか、試される時が来た」と自らを戒めた。

  こうした懐柔姿勢がタリバンの原理主義的な思想の変化を意味するのか、懐疑的な人は多い。すでに婚姻の強制や女性職員に対する差別が報告されている。男性にはひげをそることが禁止されたという。

  リスクコンサルタント会社コントロール・リスクスの政治アナリスト、アルスラ・ジャワイド氏は「80年代、90年代のタリバンとはかなり異なる」としつつ、「言葉で言うのと、それを実行するのでは大きな違いがある」と警戒する。

Taliban fighters w. tanks at HQ taken fr

戦車を操るタリバン戦闘員(1995年、カブール近く)

Photographer: Robert Nickelsberg/The Chronicle Collection/Getty Images

  2001年の米軍侵攻で当時のタリバン政権が崩壊して以降、男女平等をうたう新憲法が制定された。依然として女性差別は残るものの、学校は男女共学となり、多くのアフガン市民はインターネットや欧米の映画、クリケット観戦といった現代的な生活を味わえるようになった。

U.S. Forces In Afghanistan On Anti-Taliban Operation Mountain Thrust

タリバンとの戦闘でアフガン入りした米軍部隊(2006年)

Photographer: John Moore/Getty Images

  カブールが陥落した15日、タリバンは住民の支持を取り付けようと行動。「ならず者」の蛮行で困ったら電話してほしいと、メッセージングアプリのワッツアップを使って住民に電話番号を教える戦闘員もいた。

  カブール大学の学生、モハムード・カデリさんは「連中は銃を肩にかけ、住民に丁寧な態度で様子を尋ね、困ったら連絡してくれと言っていた」と述べた。

  タリバンによる政権掌握は短期的には成功するとみられる。しかし、多様な民族や宗派が混在するアフガニスタンをまとめるのは至難の業となりそうだ。タリバン内での権力抗争もある中、さまざまな軍閥や国民の反発を抑え込むためには経済成長も遂げなくてはならないと、専門家は指摘する。

  インドのシンクタンク、オブザーバー・リサーチ・ファンデーションの研究員で、「イスラム国(IS)」についての著書があるカビール・タネジャ氏は、「タリバンが軍事組織として効率的なのは周知のことだが、政治組織としての効率性はどうなのだろうか。それは未知数だ」と指摘。「タリバンにとって苦しいのはこれからだ」と述べた。

原題:Taliban Mullahs Vow Gentler Approach to Win Over Skeptical World(抜粋)

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