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市場に警戒シグナルか-米国の流動性、テーパリング開始前でも減少

  • マネーサプライの伸びから名目GDPの伸び差し引いた数値マイナス
  • 2010年と18年の場合、S&P500種急落の前兆となった経緯も

米国で金融の流動性の指標の1つが警戒シグナルを発している。マネーサプライ(通貨供給量、M2)の伸び率から名目国内総生産(GDP)の伸び率を差し引いた数値がマイナスに転じているのだ。2018年以来のことだ。

  同年と10年にこの数値がゼロを割り込んだ際は株価急落の前兆となっただけに、米連邦準備制度が資産購入のテーパリング(段階的縮小)に着手さえしていない現在は警報が鳴っている格好だ。

  現状は名目GDPの伸びがM2の伸びを上回っていることを意味する。景気拡大の下、米国内で利用可能なマネーが急激に減っているのが背景で、過剰流動性がビットコインや「ミーム株」を支えていると考えられている中にあっては、市場に問題が生じる可能性がある。

  4-6月(第2四半期)のM2伸び率は前年同期比12.7%と、名目GDP伸び率の16.7%を下回った。なおマネーサプライを名目GDPで割った数値は「マーシャルのk」と呼ばれる。

  ロイトホルトのダグ・ラムジー最高投資責任者(CIO)はこうした状況について、「別の言い方をすれば、かつて株式市場が独り占めできたパンチボウルから、回復しつつある経済がその中身を飲み込んでいるようなものだ」と説明した。

  1990年代には、マネーサプライの伸び率から名目GDPの伸び率を差し引いた数値は頻繁にマイナスとなったものの、株価は上昇が続いた。だが、2008年の世界的な金融危機以降のパターンは警戒を要する。

Negative Marshallian K foreshadowed S&P 500 corrections in 2010 and 2018

  この数値がゼロを下回った10年の場合、S&P500種株価指数は16%の調整局面に見舞われ、18年に同程度のマイナスとなった際には、弱気相場入り寸前となった。

  ロイトホルトの分析は流動性の観点から相場見通しに一石を投じるものだが、誰もが心配しているわけではない。UBSグループは6月、連邦準備制度が年間計1兆4000億ドル(約154兆円)規模の資産購入を打ち止めにしたとしても、S&P500種への打撃はわずか3%の値下がりにとどまるとの試算を示した。

テーパリングにタントラムの根拠なし、米株強気派のETF投資活発

  連邦準備制度がテーパリングの可能性を示唆し、米国債市場にテーパータントラム(市場のかんしゃく)と呼ばれる動揺が広がったケースでは、S&P500種は5月のピークから約6%下げたものの、その後の数週間のうちに完全に回復しただけでなく、通年では結局30%の上昇となった。

  しかし、こうした展望に懐疑的な向きは、現在との大きな違いの1つとして株式バリュエーションを指摘する。

  ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「当時の株価収益率(PER)は15倍だったのに対し、現在は22倍だ」とし、「市場が今回これを無視するのは難しいだろう」と話した。

The Fed taper in 2013 occurred when S&P 500 was way cheaper

原題:
Liquidity Is Evaporating Even Before the Fed Taper Hits Markets(抜粋)

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