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ソフバンクG、アーム売却の妙味高まる-承認困難でも推進の動機十分

  • アーム売却でエヌビディアからの支払い、合意時に比べ100億ドル増
  • 売却が承認されなければアームのIPOを余儀なくされる可能性も

ソフトバンクグループが半導体設計子会社の英アーム売却で得られる金額は、昨年の売却合意発表時に比べ100億ドル(約1兆1100億円)余り増加している。規制当局の反対が広がっているにもかかわらず、取引を押し進める動機は強くなっている。

  米エヌビディアが昨年9月にソフトバンクGからアームを約400億ドルで買収することで合意した時、既に半導体業界で過去最大規模の案件になると見込まれていた。売却代金の大きな部分を占めるエヌビディア株がそれ以降に値上がりしたことを受け、ソフトバンクGが売却で受け取れる金額は500億ドル余りに増加している。

ソフトバンクG、アームをエヌビディアに4.2兆円で売却-株急騰

  これは良いニュースだ。一方、悪いニュースは、ソフトバンクGが実際に取引を完了できる可能性がより低くなっていることだ。同社はアームが拠点を置く英国の規制当局に加え、欧州連合(EU)と米国および中国の当局の承認を得る必要がある。全ての当局を満足させるのは難しいことも考えられるため、ソフトバンクGは売却ほど高い利益が見込めないアームの新規株式公開(IPO)という「プランB」の実施を余儀なくされる可能性もある。

エヌビディアのアーム買収、安全保障理由に英国が阻止検討

Shot in the Arm

Nvidia’s offer to buy Arm has grown in value since it was made last year

Sources: Company, market data

  ソフトバンクGは2016年に310億ドルでアームを買収した。つまり、 エヌビディアへの売却が現在の株価水準で承認された場合、約60%のリターンが得られることになる。

Top Gainer

Nvidia shares have outperformed most of the chip industry this year

Source: Bloomberg

  エヌビディアの株価上昇を受け、ソフトバンクGはアーム売却をあきらめることが一段と難しくなっている。エヌビディア株の年初来上昇率は53%と、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)構成銘柄の中で3位だ。

  ソフトバンクGが当局の承認を得られなかった場合、残された選択肢はそれほど魅力的ではない。以前検討されていたアームのIPOを実施する場合は、同業企業との厳しい比較に直面することになるだろう。

  アームと同程度の売上高の半導体企業、MKSインスツルメンツ(売上高26億9000万ドル)とインテグリス(同20億8000万ドル)の時価総額は500億ドルを大きく下回っている。 インテグリスの時価総額は163億ドル、MKSは84億ドルだ。

  アームの直近の四半期の売上高は57%増の6億7500万ドルで、損益は17年以来の黒字となった。過去12カ月の売上高は約22億ドル。

Leading the Pack

Nvidia sports the richest valuation compared with sales in the chip market

Sources: Market, company data compiled by Bloomberg

Note: Data based on figures through Aug. 9.

  SOXの構成銘柄の株価売上高倍率(PSR、過去12カ月の売上高ベース)は平均8倍となっている。これに基づいて計算すると、アームの企業価値は約175億ドルにとどまる。一方、エヌビディア株の現在のPSRは約26倍と、SOXの構成銘柄の中で最も高い。

  ソフトバンクGがアームのIPOを目指す場合、アームがエヌビディアと同じぐらいの水準で評価されるべきだと投資家を納得させる必要がある。エヌビディア株は過去5年間で1200%余り上昇している。要するに、説得は困難そうだ。

原題:
SoftBank’s Arm Deal Gets More Enticing, Even With Major Hurdles(抜粋)

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