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パナソニック、水素で工場電力再エネ化ー脱炭素追い風に世界で販売

  • 23年度までに商用化、中国や欧州で販売もー30年に売上高3000億円
  • 脱炭素化の流れで問い合わせが急増、中国などとの価格競争も激化へ

パナソニックが、水素を活用して工場で使う電力を全て再生可能エネルギーで賄う世界初となる取り組みを進めている。

  パナソニックが滋賀県草津市にある家庭用燃料電池「エネファーム」を生産する工場に導入する自家発電システムは、水素を使って発電する純水素型燃料電池、太陽光発電、余剰電力を蓄えるリチウムイオン電池を組み合わせる。

  草津工場の再エネ化の実証は2022年春から開始する予定。23年度までにこのシステムの商用化を検討しており、将来的には中国や欧州でも販売し、30年に約3000億円の売上高を見込んでいる。

  同社の水素事業推進室事業企画課の河村典彦課長は、菅義偉政権が10月に掲げた50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とする目標が同社の水素事業にとって「追い風」となっていると話す。

  クリーンエネルギーによる工場の自家発電のため太陽光発電を導入する企業もあるが、天候に左右されるため発電量は不安定という弱点がある。水素を組み合わせることで大量のエネルギーを安定的に供給することが可能になる。

  日本は化石燃料の代替として、水素の技術開発に早くから取り組みを始めた国の1つだが、水素の製造価格が高止まりが続いたことが、水素普及に必要となるインフラや技術への投資の妨げとなってきた。

  しかし、各国の二酸化炭素排出の削減目標や企業の取り組みにより状況は変わりつつある。菅政権のカーボンニュートラル宣言後、パナソニックの工場電力を再エネ化する技術に対する問い合わせが急増。河村氏は「今はコストの話だけではない」と指摘する。

  液化天然ガスなどと競合する水素技術には課題も残る。ブルームバーグNEF(BNEF)によると、再生可能エネルギーで製造したグリーン水素のコストはキログラム当たり2.5ドル(約275円)から4.5ドル。30年より前に化石燃料で製造する水素のコストである1ドルまで引き下がる可能性は低いとみている。

  また、各国の水素開発参戦により、日本の先行者としての優位性も揺らぎつつある。

  BNEFのリポートによると、水を電気分解して水素を発生させる製造装置の出荷量は22年までに4倍になり、中国が最大で最も安価な製造国となる見通し。再生可能エネルギーで製造した水素を24年までに6倍にすることを目指す欧州は昨年、数千億ユーロの投資を呼び込むための水素戦略を明らかにした。

  「これは大きなチャレンジであり、すぐにリターンが来るものではない」と河村氏は語った。「われわれにとっては将来への投資だと考えている」と続けた。

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