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中国には裏目、台湾産パイナップルの対日輸出急増-地政学巡る象徴に

  • 3-6月の対日出荷は前年同期比で8倍余りの1万6556トンに急増
  • 中国が威嚇を強める中で、日台は関係を強化する方針を示している
台湾の南投県
台湾の南投県 Photographer: I-Hwa Cheng/Bloomberg

中国が5カ月前に台湾産パイナップルの輸入を突然禁止したのは、台湾の蔡英文総統の政治的地盤を弱体化させる試みだと広く見なされてきた。だが、貿易データは中国側が意図していたのとは逆の結果を示している。

  台湾行政院農業委員会が集計した1-6月の統計によれば、中国による3月1日の輸入停止後、台湾に親近感を抱く日本人消費者による購入もありパイナップル輸出はかなり好調だ。3-6月の対日出荷は前年同期比で8倍余りの1万6556トンに急増。台湾内での消費を促す呼び掛けも寄与した。

  パイナップルは台湾の中部と南部の農家にとって重要な収入源で、蔡総統の与党・民主進歩党(民進党)は南部が有力な地盤だ。台湾で収穫されるパイナップルの約11%が輸出され、中国の禁輸措置まではほぼ全てが同国向けだった。

Pineapple Harvest In Taiwan Amid Latest Trade Dispute With China

台湾南投県のパイナップル農家

写真家:I-Hwa Cheng / Bloomberg

  中国は害虫被害を防ぐとの名目で輸入を禁止。大幅な値崩れ懸念を抱かざるを得なかった台湾のパイナップル農家にとって、日本の輸入業者が救いの手を差し伸べたことはうれしい驚きだった。中国は外交問題で対立するオーストラリアからのワインや石炭、ロブスターといった産品輸入に対しても高関税や差し止め措置を講じている。

  農業委員会農糧署作物生産組の陳立儀組長は「出血が始まる前に止血措置が取られた」と述べた。

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  地政学的な観点から捉えれば、中国に代わり日本が主要な輸出先となった台湾産パイナップルはこの地域における思いもよらない抵抗の象徴となったわけだ。中国が禁輸をいつまで続けるかは不明で、この措置が解除されれば、再び対中輸出が増える可能性は十分ある。ただ、日本の指導者は自国と台湾の安全保障を直接結び付けて考えており、中国が威嚇を強める中で、日台は関係を強化する方針を示している。

Pineapple Migration

Japan replaces China as No. 1 export destination for the fruit

Source: Taiwan Council of Agriculture

 

  ハーベスト・コンサルタンシー(黍離策略顧問)の最高経営責任者(CEO)、焦鈞氏(台北在勤)は「輸出受注が予想外に好調のようだ。まさに危機がチャンスに転じた」と話した。

  日本からの支援に加えて、ソーシャルメディアで「農家を救え」というキャンペーンが展開され、内需も好調だ。蔡総統も中国の禁輸措置が実施された翌日に台湾産パイナップルを買うようツイートで呼び掛けた。

  地元企業も農家を支援し、台湾全土でレストランがパイナップルを使ったメニューを拡充した。台湾鉄路管理局はパイナップルを加えた駅弁を売り出している。その結果、台湾内のパイナップル価格は3-6月に上昇し、3年ぶりの高値を付けた。

  農業委員会の陳氏が提供したデータによると、台湾でのパイナップル販売総額は17%増加。「力強い内需による値上がりで農家の利益増加につながった」と同氏は指摘した。

TAIWAN-CHINA-POLITICS-FARMS-TRADE-PINEAPPLE

パイナップルを使ったチャーハン(台北のレストランで、3月)

 

原題:China’s Ban on Taiwan Pineapples Flops as New Buyers Step In (1)(抜粋)

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