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Photographer: Johnny Milano/Bloomberg
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ウォール街企業、保守派の標的に-住宅価格上昇招いたとしてやり玉

  • 賃貸用戸建て住宅への投資拡大が中産階級に打撃与えていると主張
  • 住宅価格上昇の真の原因は供給不足だと業界側は反論

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2022年に向けて大衆にアピールする新たなメッセージを探している米保守派がウォール街に批判の矛先を向けている。これら企業が賃貸向けに戸建て住宅を取得する慣行が中産階級に打撃を与えていると主張している。

  ブラックストーン・グループKKRなどのプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社は賃貸用の戸建て住宅への新規投資を拡大している。米国が新型コロナウイルス禍から回復するのに伴い、活況な住宅市場が底堅いリターンを生み出すのと見方が背景にある。

  しかし、売り物件不足が住宅価格の上昇につながる中、トランプ前大統領の支持層だったブルーカラーの有権者にアピールしたい政治家にとって、そうした企業は魅力的な標的となっている。

  共和党のストラテジストで、16年の大統領選挙でテッド・クルーズ上院議員の陣営で働いたリック・タイラー氏は、政府と大銀行、大企業が「全て腐敗しており、懸命に働いて規則に従って行動しても報われないのはそのせいだというのがメッセージだ」と指摘した。

  ベストセラー「ヒルビリー・エレジー~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~」の著者でベンチャーキャピタリストのJDヴァンス氏は、22年の現職議員引退で空席となる連邦上院のオハイオ州議席の共和党予備選への出馬を表明した7月1日のスピーチで、初回住宅購入者が市場から締め出されている要因として価格高騰を挙げた。

  戸建て賃貸業界は、法人の保有は米住宅在庫のごく一部にすぎず、大きな影響をもたらすには不十分で、住宅価格上昇の真の原因は供給不足だと反論。業界では、より多くの賃貸物件需要を満たしつつ、市場に新たな資本を呼び込んでいると説明した。

  ハーバード大学住宅研究共同センター(JCHS)によると、19年にオハイオ州で賃貸された戸建て住宅は約61万戸で、州内の全住宅の17.3%と、全米並みの水準。ただ、在庫が少ないため多くの市場で住宅価格が高騰し、購入者が入手可能な物件を見つけるのがますます困難になっているという。

  オハイオ州コロンバス郊外の不動産会社コールドウェル・バンカー・リアルティーのバネッサ・シモンズ支店長は、コロンバス市場で戸建て住宅購入者に占める小規模投資家やアメリカン・ホームズ4レントなどの不動産投資信託(REIT)の割合は15-20%と試算。提示額が売却希望価格を2万5000ドル(約274万円)上回るケースもあり、特に米連邦住宅局(FHA)や退役軍人省の融資を利用する初回住宅購入者は影響を受けているとした。

  08年の金融危機におけるウォール街の役割に批判的だったリベラル派もPE投資会社が賃貸住宅市場に及ぼす影響を警戒している。マサチューセッツ州のエリザベス・ウォーレン上院議員(民主)は「PE不動産投資会社の動きがファミリーやコミュニティーに再び打撃を与えており、前回の金融危機で家を失ったことからまだ立ち直っていない非白人世帯への影響が特に目立つ」と述べた。

  ヴァンス氏は声明で、「中産階級が恒久的な賃借人階級に転落すれば、われわれはこの共和国を失うだろう。所有権を持たなければ発言権を失う」と主張した。

‘Hillbilly Elegy’ Author Joins GOP Race for Ohio Senate Seat

JDヴァンス氏

  アメリカン大学メトロポリタン・ポリシー・センターの創設ディレクターで、コロナ禍が不動産市場に与える影響を研究しているデレク・ヒラ教授は市場の過熱が続く限り、機関投資家が戸建て住宅や多世帯住宅を賃貸用に購入するトレンドが強まり、さらに政治問題化すると予想できると分析。

  市場とコミュニティーに影響を与える要因の1つであることは否定できないとして、「スケープゴートにすべきではないが、ブラックストーンなどの企業が下す決定が人々の生活に影響を及ぼすことは間違いない」と語った。

原題:
Wall Street Emerges as GOP’s Villain Amid House Price Pinch (1)(抜粋)

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