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GPIFの米国債構成比が最大の低下幅、ベンチマーク重視が鮮明に

  • 外債に占める米国債の構成比は3月末に35%、1年前の47%から低下
  • 米国債に代わって構成比を伸ばしたのは仏伊独など欧州の国債

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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の外国債券に占める米国債の構成比が記録的な低下となっている。市場の運用指標(ベンチマーク)に沿った資金配分を従来よりも強化したためとみられ、一方で欧州国債の構成比は高まっている。

  GPIFが公表した運用資料に基づくブルームバーグの試算によると、米国債(短期証券を含む)の構成比は3月末で35.4%と、1年前の47.4%から12%ポイント低下した。低下幅はデータでさかのぼれる2014年度以降で最大だ。

  半面、フランスやイタリア、ドイツ、英国の国債の割合は少なくとも1.7%ポイントずつ上昇。これら国債の購入額は時価評価額や為替相場の変動を差し引いて5兆7200億円程度に上った。

米国債の構成比下げ、収益面の追い風に

出所:ブルームバーグ、GPIF

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介債券ストラテジストは「GPIFは18、19年度の外債運用では米国債への投資が多く、オーバーウエートになっていたが、20年度からはベンチマークとの乖離(かいり)を避ける方針を明確にした」と分析している。

  ただ、GPIFが保有する米国債の残高は17兆4600億円と、1年前より1兆1000億円増えている。低金利が続く国内債券の目標値を引き下げて外債を15%から25%に引き上げる資産構成の枠組み(ポートフォリオ)を20年度から適用したためだ。外債のベンチマークであるFTSE世界国債指数(日本を除く、ヘッジなし、円ベース)に占める構成比は6月末時点で38%となっている。

  GPIFは、宮園雅敬理事長の任期期間と重なる5年間の中期計画で、運用実績をベンチマークとの比較で評価すると明記。計画初年度に当たる20年度の収益率は、債券・株式のベンチマーク収益率を各資産の目標値の構成比で加重平均した「複合ベンチマーク収益率」を実質7年ぶりに上回った。外債の運用収益率は7.06%とベンチマークを1.63%ポイント上回り、4年ぶりの超過幅となった。

欧州債の構成比、軒並み上昇

出所:ブルームバーグ、GPIF

  米10年物国債利回りは足元で1.2%台と3月末から50ベーシスポイント(bp)超も低い水準。米財務省の統計によれば、日本の投資家は米国債を20年度に約350億ドル(約3兆8500億円)売り越した後、今年度に入ってからも約240億ドル売り越している。

  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、米債はインフレ見通しに比べて金利が低く「投資妙味が大幅に落ちている」と指摘。「この金利水準で為替リスクを取って投資するのは非常に厳しい」とみている。

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