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五輪の「バブル方式」は感染防止に一定効果-関係者の陽性率0.02%

  • 五輪関係者の感染、過半数は日本国内の在住者
  • デルタ株の広がりが状況を複雑にしていると専門家

東京五輪に参加する選手や関係者と外部の人間の接触を制限して新型コロナウイルスの感染を防止する「バブル方式」の対策が、いまのところ一定の効果を上げている。「一大感染イベント」になるとの開幕前の懸念とは裏腹に、現在の五輪関係者の陽性率は市中と比較にならないほど抑え込まれている。

  大会組織委員会が30日に公表した資料によると、新型コロナに感染した五輪関係者は約200人。30万回以上実施されたPCR検査の陽性率は0.02%にとどまる。一方、新規感染者数の増加に歯止めがかからない東京都では、陽性率の7日間平均が18%(28日時点)と桁違いだ。

  関西大学の高鳥毛敏雄教授(公衆衛生学)は、関係者の陽性率が低い原因の一つは、選手が入国前から複数回にわたりPCR検査を受けていることだと分析する。「この数字が大きい小さいとみるよりも、ちゃんと管理できている」と現状を評価する。

  大会の規定では、選手らは日本に向かう前の96時間以内に2回の検査が必要で、入国時に3度目の検査を行い、さらに到着後の3日間は移動の自粛が課せられる。

  さらに、開催前に国際オリンピック委員会(IOC)は、米ファイザーから新型コロナウイルスのワクチンの無償提供を受けており、選手や関係者へのワクチン接種も感染の抑制に貢献した。

  米ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院のタラ・カーク・セル教授も、「大きなクラスター(集団感染)は発生していないように見える。衛生上で大きな脅威には発展していないと思われる」と評価する。

絶対はない

  こうした状況の中、市中感染の広がりが急激なため、訪日中の関係者らを感染の渦に巻き込んでしまうのではないかとの新たな懸念も浮上している。これまで報告された五輪関連の感染者のうち、過半数が国内在住者だからだ。

  また、新型コロナの変異株で感染力がより強い「デルタ株」の増加も脅威だ。30日発表の東京都のデータによると、実施したPCR検査1989件のうちデルタ株は1367件。検出率は約69%と高く、変異株への置き換わりが急速に進んでいることがわかる。

  感染症モデルを専門とする米テキサス大学オースティン校のスペンサー・フォックス研究員は、都内の感染状況について「デルタ株に直面する他の国と同様な感染の広がりに見える」と指摘。「五輪関係者の感染経路の追跡調査を行わなければ、大会がどのように感染拡大に影響しているか分からない」と電子メールで取材に答えた。

  IOC広報担当のマーク・アダムス氏は、選手村などの感染防止策を「現在の状況を考慮するとかなり成功している」と評価した上で、閉会まで気が抜けないと語る。米男子水球チームの主治医を務めるナレシュ・ラオ氏は、「100%なことはない。接触を減らすことに尽力している」と述べた。日本滞在中、選手らは毎日の検査が義務付けられている。

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