コンテンツにスキップする

IMF、21年成長率予想据え置き-ワクチン次第で世界格差拡大の恐れ

  • 21年の世界成長率予測を6%に維持、日本や新興アジアは下方修正
  • 先進国・地域は余剰ワクチンを比較的貧しい国に提供するべきだ

1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら

国際通貨基金(IMF)は27日公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2021年の世界成長率予測を6%に据え置いたものの、国・地域別の予想は修正した。新型コロナウイルスワクチンの普及状況が先進国と発展途上国の経済回復の格差を広げるとみている。

  21年の世界経済は20年のマイナス3.2%成長から回復し40年ぶりの高成長となる見込み。一方、新興市場国の成長率予想は6.3%と、4月時点に予測した6.7%から下方修正した。先進国の成長率予想は0.5ポイント上方修正され5.6%と見込まれている。

2021 GDP Projections

World economies are set to expand despite unequal vaccine access

Source: International Monetary Fund

Note: Mapped data show forecasts of YoY change for distinct economies

  22年の世界成長率予想は4.9%と、従来見通しの4.4%から上方修正した。

  IMFは報告書で、「ワクチンへのアクセスが主要な断層線となり、世界は景気回復について2つのグループに分断された。今年中にさらなる活動正常化が望めるグループと、依然として感染再拡大および死者増加に直面するグループだ。先進国・地域の大半が前者に入る」と分析。その上で、「しかしながら、現時点で感染者数が非常に少なくなっている国々でも、他の国・地域でウイルスが猛威を振るっている限り、回復は確実ではない」とくぎを刺した。

  拡大する格差を是正するため、国民の40%前後がワクチン接種を終えている先進国・地域は余剰ワクチンを比較的貧しい国に提供するべきだとIMFは論じた。

  チーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は関連ブログで、「世界が確実にワクチンと検査、治療に迅速にアクセスできるようにする多国間の行動が必要だ」とし、「これにより無数の命が救われるほか、新たな変異株の出現を阻止し世界経済成長に数兆ドル規模のプラスをもたらすだろう」と訴えた。

  IMFは5月に、世界人口の少なくとも40%が年内にワクチン接種を受けて新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を終わらせるための500億ドル(約5兆5000億円)の支出計画を呼び掛けた。

IMF、500億ドルの支出呼び掛け-コロナ危機克服で世界を支援へ

  IMFは米国の21年成長率予想を7%と、4月時点の見通しの6.4%から上方修正した。ユーロ圏と中南米、中東および中央アジアの予測も引き上げた。

  一方、日本については2.8%と、4月予想の3.3%から下方修正。アジアの新興国・地域見通しは1.1ポイントと、最も大きく引き下げられた。

  IMFはまた、インフレ率はほとんどの国で22年にパンデミック前の水準に戻ると予想。一方、一部の新興市場国では食料品価格上昇を一因にインフレが高まるとの見方も示した。

  成長見通しへのリスクは依然、下方向に傾いているとし、世界の基調ラインを巡る不確実性はまだ高いと指摘した。ワクチンの遅れは新たな変異株の感染拡大を許し、「ワクチン接種済みの人の間で感染急増リスクが高まる可能性がある」とも分析。

  「正しい方向への政策協調は、全ての国・地域の回復持続という未来と、一段の格差拡大という未来を分けるものになる。後者の場合は多くの国・地域で公衆衛生の危機が続き、一握りの国は正常化するものの新たな感染拡大の脅威に常にさらされ続けるだろう」と結論付けた。

原題:
Global Recovery Gap Widens on Unequal Vaccine Access, IMF Says(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE