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10兆円大学ファンドは株65%・債券35%、利回り最大化狙う-運用案

更新日時
  • 運用目標は長期支出目標3%+物価上昇率1.38%以上
  • 世界標準の国際分散投資、オルタナティブ投資を積極的に推進

10兆円規模の大学ファンドを巡り、政府の有識者会議は、株式65%、債券35%を資産構成の目安とする運用方針案をまとめた。大学ファンド資金運用ワーキンググループ座長で米コロンビア大学の伊藤隆敏教授が27日、報告した。

  長期運用目標は、大学への資金拠出3%に長期物価上昇率(1.38%)以上を上乗せした水準。今年度中に運用開始し、5年以内に実質3000億円の運用益を確保した後、10年以内に長期運用目標を達成するポートフォリオの構築を目指す。

  資産構成は、国内外の株式と債券に4分の1ずつ割り振る年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と比べて株式の割合が多くなる見通し。最低限のリスクで運用目標の達成を目指すGPIFに対し、大学ファンドの運用方針には「許容リスクの範囲内で利回りを最大化」することが明記された。

  伊藤教授は、資産構成の目安の妥当性は、外部の金融系コンサルタントが検証済みとした上で、「欧米に比べリスクを取りすぎないという意味で保守的な数値」と述べた。また最低4.38%とする運用目標について、「グローバル運用で国内外の成長を取り込むことができれば、十分に達成可能」との考えを示した。

国内年金や海外大学との比較

大学ファンドGPIF米プリンストン大学
運用資産
早期に10兆円
186兆円2.9兆円
運用目標

大学への資金拠出3%

+物価上昇率1.38%以上

名目賃金上昇率

+1.7%

支出目標(4.0~6.25%)

+高等教育物価上昇率

資産構成株式65%、債券35%を
目安とする資産構成の
許容リスクの範囲内で
JSTが設定
国内株式25%
外国株式25%
国内債券25%
外国債券25%
上場株式22%
未上場株式30%
絶対収益型24%
実物資産18%

債券・現金6%

運用実績年率3.61%年率9.2%

※出所:内閣府やGPIFの資料より抜粋


  世界標準の長期投資と国際分散投資を実践するほか、リスク分散の観点からプライベートエクイティ(PE、未公開株)や不動産などのオルタナティブ(代替)投資を積極的に推進することも基本方針に盛り込まれた。目標達成のための基本ポートフォリオは、管理運用主体の科学技術振興機構(JST)が定める。

  運用悪化により、大学への資金拠出が滞ることを最大のリスクと位置付け、運用益から支出上限の2年分に相当する6000億円をバッファーとして蓄積させる。仮に、累積実現損が3期連続で自己資本を上回った場合、事業の見直しを国と協議する。

  伊藤教授は、運用悪化による事業見直しについて「確率的には非常に小さい」と指摘。相場下落時は、「投資規律を順守してリバランスする、価値が下がったものを買うという姿勢が何よりも重要であり、これにより市場の回復局面の価値上昇の波に乗ることが可能になる」と述べ、一時的に相場が悪化した場合の介入は抑制するよう国に求めた。

  政府は元本4.5兆円分を既に予算計上しており、早期に10兆円まで積み増し、2024年度に運用益による大学支援を開始する方針だ。JSTの運用担当理事には、元農林中央金庫幹部の喜田昌和氏が就任している。

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