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空港施設社長、金融事業への参入表明-最大1000億円の私募REITも

  • M&Aも積極検討へ、シンガポールで100億円規模の航空関連投資も
  • 空港関連事業の競争激化や新型コロナで業績打撃、事業多角化を急ぐ

東京国際(羽田)空港を中心に不動産賃貸業などを展開する東証1部上場の空港施設は、金融事業への参入を検討している。すでに社内で検討チームを立ち上げており、早期の事業化を目指す。手数料収入による収益安定化が狙いで、将来的には最大1000億円の私募の不動産投資信託(REIT)を組成したい考えだ。

Airport Facilities Co. President Toshiaki Norita

空港施設の乗田社長

Source: Airport Facilities Co.

  6月に就任した乗田俊明社長(63)はブルームバーグの取材に対し、多角化の一環として「ファンド組成や資産運用業、不動産管理業などに取り組んでみたい」と表明。機関投資家の募集には第二種金融商品取引業の登録などが必要となるため、まずは資産運用業者との業務提携で小規模なファンドを組成、事業の進捗(しんちょく)をにらみながら必要な手続きを進める。

  当面は保有不動産の流動化ではなく、新規物件に投資する意向だという。同社は空港関連オフィスビルや航空会社従業員向けの住宅運営ノウハウを持っていることから、不況でも安定した需要が見込める空港周辺の物件に特化したファンドとする構想もあるという。

  多角化を急ぐ背景には、空港関連事業の競争激化がある。戦後、空港用地の異業種への転売や細分化を防ぐため、空港施設を始めとする既存業者は国に保護されてきた面があった。しかし、最近の新規事業は公募が主流で、羽田空港の拡張で生じた跡地第2ゾーンの開発を住友不動産が担うなど、大手の参入が目立っている。

空港以外の事業比率を引き上げ

  さらに、新型コロナウイルス禍の影響で航空会社の業績が落ち込む中、羽田などでビルや格納庫、整備工場の賃貸、冷暖房や給排水などのインフラ供給を行う空港施設の業績も落ち込んでいる。2021年3月期連結決算は、航空会社に対する賃料の減免などで特別損失を計上、1970年の創業以来初の最終損失(9億円)となった。

  同社は売上高の77%を羽田空港内の事業に頼っており、乗田社長は「将来的に、営業キャッシュフロー(CF)収支で羽田を含む空港関連と空港以外の事業比率を半々にしたい」という。事業環境は今期(22年3月期)も厳しいが、乗田氏はワクチン接種の普及で「期末をめどに国内線の需要はコロナ禍前の水準に戻る」と予想。業績も底を打ったとの認識を示した。今期の連結純利益は16億円を見込む。

  新規投資や企業の合併・買収(M&A)も積極的に検討する。営業CF水準並みの年60億ー70億円程度を投資に回したい意向で、案件次第でさらに大型投資も可能とみる。実際にシンガポールで100億円規模の航空関連事業への投資を検討中という。国内の資産運用会社の買収も模索する。

  乗田社長は日本航空(JAL)出身。前社長までは官僚出身が続き、初の民間出身トップとなる。JALが10年に会社法更生法を申請した際に広報部長として奔走した経験から「絶対的に安定した会社などない」と実感している。自社の社風を「若干上意下達が強すぎた」と反省し、激変する事業環境への自覚を促すためにも「これからは社員一人一人の自由な意見をどんどん取り入れていきたい」と抱負を述べた。

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