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【コラム】コロナワクチン拒否、共和党に目立つ理由-バーンスタイン

米共和党議員の一部はなぜ、新型コロナウイルスワクチンに急に背を向けているのだろうか。接種率が低ければ苦しむのは自身の選挙区の有権者なのだから、それは無意味に思える。実際、共和党地盤の州ではワクチン接種率が低く、新型コロナ感染が再拡大している。

  こうした行動について一部の人は、民主党がホワイトハウスにいる間に国家を崩壊させようとする単純な試みだと考えている。筆者はその考えには懐疑的だ。政治家の倫理観を大いに信用しているからではない。そもそもワクチン反対派の人々はワクチン登場前から、そしてバイデン大統領就任の前から、公衆衛生上の安全対策に反対していた人々だからだ。

  そこで、筆者は4つの答えを用意した。1番目の答えはシンプルだ。共和党寄りメディアには反ワクチン派の司会者が多く登場し、共和党議員はFOXニュースなど共和党寄りテレビやラジオの番組に出たがる。

  2つ目の答えも単純だ。バイデン氏がワクチン接種は良いことだと言っているので、一部の共和党議員は反対のことを主張している。

  3つ目の答えは、ジャーナリストのアダム・セルワー氏が著書「The Cruelty is the Point(原題)」で書いていることを読めば分かる。

  4つ目の答えは少し複雑だ。それは共和党内の力学、つまり「真の保守派」ゲームと関係している。

  要するに、こういうことだ。共和党の非主流派は、主流派との差別化を図ろうとしている。そのため、自分たちこそが真の主流派だと主張し、他はせいぜい名ばかりの共和党員、もしくはリベラル派だとのレッテルを貼ろうとしている。しかし、今や共和党の主流はかなり保守化しているため、それは簡単ではない。

  非主流派にとっては別の問題もある。共和党の保守本流が、有権者から穏健派と判断されて中間選挙で敗れるのではないかと被害妄想的になっていることだ。

  主流保守派との差別化を図りたい人に残された道は、意味不明な言動とニヒリズムしかない。何かしらクレイジーかつ破壊的な(自滅的行為含め)ことを持ち出せば、恐らく党の大部分は同調しないため、非主流派が「真の保守派」ゲームに勝つことにつながる。党派的な分極化によって共和党はますます保守的になり、最初はリベラル派が、次に穏健派が排除され、最終的には超保守派だけが残ることになる。それで非主流派は自分たちだけが真の保守派であることを証明すべく、ますます怪しげな方法に頼らざるを得なくなっている。

  ここで重要なのは、共和党内にはそれに対抗する動きがみられないことだ。民主党であれば、ペロシ下院議長やシューマー上院院内総務が、自分たちは社会主義者ではなくリベラル派なので「こんな政策には反対だ」と言うことができる。マッカーシー下院院内総務やマコネル上院院内総務ら共和党の議会指導部に同様の動きはない。だからといって主流保守派が常に賛成しているわけではないが、共和党の規範では誰かを保守的過ぎると呼ぶことは許されない。

  こうした極端に機能不全に陥った党内力学が、共和党議員の間で反ワクチン発言を連発させている理由だと証明することはできない。それが理由の全てでもないだろう。しかし、これは実際に起きていることと合致する。ワクチンやマスク、その他の公衆衛生措置への反対姿勢とも整合性がある。共和党地盤の各州で失業保険の上乗せ給付が打ち切られていることにも通じる。こうした州の知事らは、打ち切りを求めた真の保守派に挑戦するのを恐れたのだ。そして、ドナルド・トランプ氏への崇拝ともつじつまが合っている。

(ジョナサン・バーンスタイン氏はブルームバーグ・オピニオンの政治・政策担当コラムニストで、テキサス大学サンアントニオ校とデポー大学で教えていた経歴があります。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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