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キャンプ人気追い風スノーピーク、米国に本腰-アパレルやキャンプ場

  • 現地化した商品展開と体験の基盤を拡張-山井社長
  • 競合ブランド多数の米国で差別化できるかが課題との声も

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国内のキャンプ人気が高まる中、コロナ禍逆手に新潟県三条市に本社を置くアウトドア用品のスノーピークの業績が好調だ。今後は海外売上高比率も高めていきたい考えで、米国事業の展開を拡大するが、キャンプ本場での競合ブランドも多く、どれだけ差別化できるかが課題となる。

  同社は1958年に金物問屋として創業。その後、オリジナルの登山用品やキャンプ用品に事業領域を拡大、14年に東証マザーズに上場、15年に東証1部指定となった。

  国内キャンプ人口の増加と共に足元の業績も好調で2020年12月期は前期比18%増の168億円と15期連続で増収を達成、営業利益は同62%増、今期も同37%増を計画している。株価は新型コロナ感染拡大後の20年3月に548円から15日時点で3930円と約7.2倍に上昇した。

海外比率30%へ、米国でキャンプ場オープン

  同社ではアウトドアが盛んな米国事業を強化し、韓国、台湾、中国、英国と合わせ20年に19.9%だった海外売上高比率を23年までに30%に拡大する目標を掲げている。

  このほど、米国向けのアパレル製品の開発に乗り出したほか、オレゴン州ポートランドの米国本社近くに800万ドルを投じて開発しているキャンプ場を22年7月までに開業する予定だ。米国での認知度を上げるため将来的には米ナスダック市場での株式上場も視野に入れているという。

  昨年3月に社長に就任した山井梨沙氏(33)はインタビューで「米国マーケット向けの製品開発も今年から始めている。しっかりと現地化した商品展開、体験の基盤拡張を行っていく」と話した。山井氏は12年に入社、アパレル事業を立ち上げ19年から副社長を務めていた。

Snow Peak CEO Lisa Yamai Interview

山井社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  スノーピークの米国事業では、13年にポートランドに初の直営店を構えた。15年にはアパレル旗艦店をニューヨークに出店、20年9月にはポートランドに米国本社と日本食レストランを併設する旗艦店をオープンした。山井社長は「日本と同様に製品、サービス、流通をしっかりと拡大しつつ、体験できるプラットフォームと、コミュニティー創造でサステナブルな顧客を創出していける」と述べた。21年1-3月期の米国事業の売り上げは前年同期と比べ2.2倍となった。

  こうした米国事業の足固めをしたのは山井社長の父親でもある山井太会長(61)だ。米国では1年以内にキャンプをしたことがある人は人口の約50%に上るが、ホテル代を浮かせるための「貧しい」イメージは30年前から変わっていないという。同会長は19年から米国に移住し「豊かな」キャンプマーケットの開拓を始めた。山井社長によると、会長は引退するまでにナスダック上場を目標としているという。

  スノーピークの米国展開についてユーロモニター・インターナショナルのリサーチアナリスト、アレックス・ジャーマン氏は「米国でのアウトドアブランドの多さは、スノーピークが直面する最大の課題の一つ」と指摘する。米国でもキャンプやアウトドア活動の人気が高まっているが、店舗とデジタルの両方で展開している確立されたブランドが数多くある。「他のブランドと効果的に差別化できなければ、米国展開は足を引っ張ることになるかもしれない」とみている。

国内キャンプ人口増加

  日本でも、ここ数年キャンプ需要が高まり、新型コロナの拡大で密を避けるなど自然志向の生活を取り入れる人も増えた。日本オートキャンプ協会によると、19年のオートキャンプ参加の人口は860万人と同年まで右肩上がり。コロナ拡大による緊急事態宣言発令の影響もあり20年の人口は前年から減少したが、キャンプ用品の購入については年間を通じて増加しており好調を維持している。同社の新規顧客も前期(20年12月期)は9万7000人と前年から約1万人増えた。

  山井社長は、同社の運営するキャンプ場について「生きるためのコミュニティー創造ができる施設が最終的な目的」と話す。家を建て、地域貢献したい人々が移り住み、共生社会をつくって同じ価値観を共有しながら暮らしてこそ人生価値につながるという。

Snow Peak Inc.'s Products And Its Camp Field Ahead of Inaugural Mountain Day Holiday

スノーピークの三条市のキャンプ場

Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg

  同社では、新潟県三条市の本社5万坪のほか、周辺の土地を買い上げ、キャンプ場など15万坪の敷地を有している。山井社長は「スノーピーク村みたいなものを作ろうと思っている」と語る。

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