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滴滴や中国IT大手を阻むネット規制当局-対米競争でデータ管理強化

  • 国家インターネット情報弁公室、上場目指すハイテク企業の将来左右
  • アリババや滴滴にとって状況一変、容易な運営の時代終わる-IMD

中国の国家インターネット情報弁公室は当初、オンラインのポルノや際どいコンテンツの監視を担当する目立たない機関だった。だが、今では新規株式公開(IPO)を目指すテクノロジー企業の将来を左右するまで存在感が増している。

  2011年に設立された国家インターネット情報弁公室はこの2週間で一気に名を知られるようになった。国務院(政府)の後ろ盾を得て国外IPOにまで監督対象を広げることになり、強力な金融規制当局でもできなかったことをするようになっている。

  今月公表された新たな規定では100万人を超えるユーザーを抱え、国外上場を目指す企業は同弁公室の承認を申請する必要がある。これほど明確な門番としての権限を有した機関は過去になかった。

中国、海外IPOルール厳格化へ-ほぼ全ての企業対象

  中国政府は自国にとって最も価値が高い資産の1つで、将来的なテクノロジー支配を巡る米国との競争の中心でもあるデータの管理を強めようとしており、習近平総書記(国家主席)をトップとする共産党中央インターネット安全情報化委員会の下で運営される同弁公室は、その取り組みの最前線に立つ。

  調査会社プレナムでパートナーを務めフォン・チュチョン氏は、「国家インターネット情報弁公室は習氏の求めに応じて表舞台に立とうとしている」と指摘。中国政府は資本の無秩序な拡大を抑制する必要があったとし、この警告下でインターネット企業は直接影響を受けることになると話す。

  中国当局による国内ハイテク企業の締め付けは、テクノロジーがいかに速いペースで米中の次なる主戦場と化しているかを示している。今後数十年にわたり世界経済を一変させる潜在力を持つ意味合いがある。

  米国は先端半導体などの技術を中国に取得させないよう他国に働き掛ける一方、習氏は自前で開発する国家プロジェクトに着手している。厳格なデータセキュリティー管理は、一段のサプライチェーン寸断や金融市場の分断だけでなく、各国にどちらの陣営に入るのか選択を迫る恐れがある。

強い不確実性

  スイス・ローザンヌを拠点とするビジネススクール、IMDで中国テクノロジーを専門とするマーク・グリーブン教授は、「プラットフォーム企業を中心にテクノロジー大手に対応し、それらを真剣に捉える部署が必要だ。アリババグループや滴滴などの企業にとっては環境ががらりと変わりつつある。容易な事業運営の時代は終わった」と語る。

  オランダ・ライデン大学中国学科のロヒール・クレーマス助教は、データの重要性と国家安全を結び付ける中国政府の取り組みもあって、国家インターネット情報弁公室は後押しを受ける形になっていると指摘。政府は中国の個人に関するデータを備えたアプリが外資も入った企業に握られ、海外で取引されてスパイ目的で使われたくないと分析する。

  北京を拠点とする戦略助言コンサルタント会社トリビアム・チャイナのパートナー、ケンドラ・シェーファー氏は「中国による今後の行動で、向こう2、3年はテクノロジー企業が極めて強い不確実性に置かれる」と指摘。「中国の考えではこれはわれわれの成長エンジンであり、ルールを整えなければ手に負えなくなるということになる」と述べた。

原題:Xi Elevates Obscure China Watchdog to Take On Didi, Big Tech (1)(抜粋)

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