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補正予算10兆-30兆円が妥当、グリーンやデジタルに活用を-竹中平蔵氏

  • 「数%の需給ギャップを埋める」、規模はそれほど大きくない
  • 政権運営は「70-80点」、ワクチン巻き返しとデジタル推進を評価

菅義偉政権の成長戦略会議で議員を務める竹中平蔵慶応大学名誉教授は、秋の衆院選を前に政府が経済対策を取りまとめるとの見方が広がる中、需給ギャップを踏まえると補正予算は10兆-30兆円が妥当との見解を示した。

  竹中氏は、想定する補正予算の規模について「数%の需給ギャップを埋める」ためと説明。昨年度補正予算の繰り越しや予備費で30兆円の予算が残っていることを考慮すると、「規模はそれほど大きくない」との見方を示した。

  内閣府によると、1-3月期のGDPギャップ(需給ギャップ)はマイナス4.4%と、25兆円程度の需要不足だった。政府は2020年度に新型コロナウイルス対策を中心に合計70兆円を超える補正予算を組んだ。

衆院選前に20兆円以上の経済対策、エコノミスト5割が予想-サーベイ

出所:内閣府

  補正予算の使い道については、「グリーンとデジタル」を中心にするべきだと主張。脱炭素社会の実現に向けて政府は技術開発を支援する2兆円の基金を創設したが、米欧諸国に比べると規模は不十分で、「数倍にすることが今後必要になる」とも述べた。

  さらに、脱炭素社会へのイノベーション(技術革新)以上に重要な取り組みの一つとして、二酸化炭素(CO2)排出量に応じて課税するカーボンプライシングの導入を挙げた。

  欧州連合(EU)が輸入品に炭素税を課す国境炭素税の導入に動く中、7月の20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、声明文に初めてカーボンプライシングが盛り込まれた。竹中氏は、「カーボンプライシングをやっておかないと、国境調整で税金を取られてしまう」と指摘。日本の製造業に対しては、デジタル化による生産性向上を通じて炭素税を減らすビジネスモデルの構築を期待した。

  竹中氏は林業の重要性にも言及した。古い樹木を伐採して植林することでCO2吸収量が増えるとともに、国内材の活用につながることから「林業は成長産業になるし、地球環境にも資する」と説明。林業の大規模・効率化を進めるために国有林の活用を提案した。地方創生の観点から菅首相も興味を持っているという。

竹中平蔵慶応大学名誉教授のインタビュー(英語)

(Source: Bloomberg)

「初期段階の小さな成果」は達成

  東京都に4回目の緊急事態宣言が発令される中、菅内閣の支持率は政権運営が困難な「危険水域」といわれる30%割れが目前に迫っている。

  6月27日に菅首相と面会した竹中氏は、内閣発足から10カ月間の政権運営について「70-80点」と評価。新型コロナウイルス対策では、諸外国に比べてワクチン接種が出遅れたものの、その後の巻き返しについては見事だと指摘した。携帯電話通信料金の引き下げなどの規制改革やデジタル庁の9月発足で、菅政権は「アーリースモールサクセス」(初期段階の小さな成果)は達成したと述べた。

その他の発言
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