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任天堂の新型スイッチ、部品コスト増加は1100円程度-市場の評価二分

  • 「失敗する理由ない」と期待の一方、「中途半端な印象」との指摘も
  • 5年目のスイッチが異例の値上げ、ライフサイクル長期化に影響も

任天堂は10月8日に発売する家庭用ゲーム機「スイッチ」の新型モデルで、同シリーズ初の値上げに踏み切る。基本性能を据え置いた新モデルの投入で値上げするケースは珍しいだけに、2017年3月の発売から5年目に入ったスイッチの人気に与える影響にも関心が集まっている。

  新型モデルは有機ELパネルを採用し、本体メモリーは64ギガバイトに倍増した。内部の半導体は現行モデルと全く同じで処理能力などは変わらないが、価格は3万7980円と約5000円高い。19年に携帯専用の廉価版「スイッチライト」(2万1978円)を投入したが、据え置き・携帯両方で遊べる現行機の価格は維持してきた。

任天堂が新型スイッチを10月に発売、3万7980円-有機EL採用

Nintendo Switch (OLED model)

有機EL採用のスイッチ新型モデル

コスト上昇は約1100円

  新型モデルの1台当たりの部品コストは約10ドル(約1100円)の上昇にとどまると試算される。米調査会社DSCCの田村喜男アジア代表は、同モデルに搭載される韓国サムスン電子製の7インチ有機ELパネルの価格は現行品に比べ3-5ドルほど高いとみている。

  このほか、英調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターによると、メモリー容量の増加コストは3.5ドルになるという。他の追加部品の増加分も数ドル程度で、ゲーム機単体としての新型モデルの収益性は値上げにより高まるとみられる。

人気据え置き型ゲーム機の販売推移

スイッチは今期中に累計販売1億台に到達しそうだ

出所:任天堂、ソニーグループ

  任天堂の広報担当者は、部品価格などについてコメントを控えるとしている。

  家庭用ゲームのビジネスモデルは、開発したゲーム機を損失を出してでも拡販し、幅広いユーザーを獲得した上で、ソフトの販売やゲーム機の生産性向上により利益を確保していくのが通例だ。ソニ-グループのプレイステーション(PS)シリーズも同様で、性能の増強を伴わない限り、基本的にゲーム機本体は値下げしてきた。

ライフサイクル

  値上げとなるスイッチの新型モデルに対する評価は分かれる。ゲームコンサルタント会社カンタンゲームスのセルカン・トト代表は、スイッチは現行モデルの需要が強く、値下げの必要もないことから価格が上がったと分析。このため新型モデルについても「失敗する理由がない」と述べた。

  一方、米国モーニングスターの伊藤和典アナリストは、新型モデルは約50ドルの値上げ分に見合う付加価値を提供できていないと指摘。「かなり中途半端な印象で、プラットフォームのサイクルを延ばすといった効果は期待できそうにない」との見方を示した。

  任天堂の古川俊太郎社長は5月の決算会見で、スイッチはピークを過ぎたという認識はなく、「ライフサイクル長期化の基盤は整ってきた」と述べていた。同社の前期(21年3月期)決算はスイッチ向けゲームソフト「あつまれどうぶつの森」のヒットが貢献し、営業最高益を更新した。

任天堂の今期営業益22%減に、半導体不足を懸念-市場予想下回る

  任天堂の株価は6日夜の新型モデル発表以来、14日までに約5%下落している。

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