コンテンツにスキップする
Photographer: Yan Cong/Bloomberg
Cojp

中国、世界一の経済大国になれず万年2位も-労働や資本、生産性不安

  • 中国が改革断行の一方、米政権の公約実現なければ31年に首位交代も
  • 労働力は減少の方向、投資リターン縮小、不透明な生産性と課題山積

中国が米国を抜いて世界一の経済大国になるのはいつか。長期的な利益の源泉はどこかと思案する企業の経営幹部にとっても、世界の準備通貨としてのドルの地位を見極めようとしている投資家にも、地政学的な火種について戦略を練る軍部首脳にとっても、これほど重要な問いはほとんどない。

  中国共産党創立100年を先週祝った北京では、党指導部が米国との主役交代が差し迫り、不可避であることを伝えようと懸命だった。習近平総書記(国家主席)は祝賀式典の演説で、「中華民族は偉大な復興に向けて止められないペースで前進している」と訴えた。

China Celebrates 100 Years of the Chinese Communist Party

上海市内で生中継される習近平総書記の演説(7月1日)

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  新型コロナウイルス危機の初期段階で米国が何十万人もの死者を出し、急激なリセッション(景気後退)に見舞われるのを尻目に、中国が感染を抑え込み、成長を保っていた時期なら多くが同意するところだった。

  最近では米経済が予想外に急速な回復を遂げており、世界一の経済大国の交代はいつなのか、そもそも中国経済が米国を抜くことができるのかに関して不確実性がいかに強いかを示した。

  習氏が成長を押し上げる改革を断行する一方で、バイデン米政権が自ら提案したインフラ更新や労働力拡大を実現できなかった場合、ブルームバーグ・エコノミクスのシナリオでは米国が100年余りにわたって維持してきた世界一の経済大国の座を中国が2031年にも奪うと予測している。

Who Wins? It Depends

  だが、それが実現する保証は全くない。中国の改革課題は棚上げ状態となっており、関税や他の貿易制限によって世界の市場や先端技術へのアクセスにも支障が生じている。さらに、コロナ対応の刺激策で債務も記録的な水準へと増加した。

  習氏にとって悪夢のシナリオは、約30年前のバブル崩壊前まで米国に対する潜在的な挑戦者ともてはやされていた日本と同じ軌道を中国がたどることだ。中国の場合、改革の失敗と国際的な孤立、債務急増に伴う金融危機が組み合わされば米国を抜く前に停滞を余儀なくされる可能性がある。

China as Number 1?

  また、中国が発表する公式の国内総生産(GDP)が実際に水増しされていれば、米経済との差は見た目以上に大きく、隔たりを埋めるペースもより緩やかとなりそうだ。

  ここで言及しているのは経済力を測る最良の指標と広く認識されているドル換算の名目GDP水準だ。購買力平価(PPP)ベースでは中国はすでに首位の座にある。

  長期的に経済成長率を決定付ける要因は3つある。労働力の規模と工場から輸送インフラ、通信ネットワークに至る資本ストック、そして生産性だ。いずれに関しても中国にとって先行きは不透明だ。

Fewer Hands Make Heavier Work

  労働力から見てみる。労働者が増えれば成長率も高まり、労働者が減れば成長力も落ちるという明快な図式だ。中国はここから課題に見舞われる。一人っ子政策の余波で出生率は低水準にとどまっており、中国の生産年齢人口はすでに頭打ちだ。出生率が今後も低いままなら、向こう30年で2億6000万人余り、率にして28%の減少が見込まれている。

Keep Working!

  資本投入量の見通しはそれほど悪くなく、鉄道や工場用ロボット、第5世代移動通信(5G)設備などの数が減少するとは見込まれていないが、投資の目覚ましい伸びが何年も続いた後、肝心のリターンが小さくなっている兆しも多い。過剰生産能力や入居者不在の建物が集まるゴーストタウン、過疎の農地にまでくねるように建設された6車線もある幹線道路などはいずれもこうした問題を浮き彫りにしている。

  労働力が縮小する方向にあり、資本支出にも行き過ぎ感がある中で、将来の中国経済の成長の鍵を握るのは生産性だ。大半の欧米エコノミストの見方では、生産性向上には中国特有の戸籍制度の廃止や国有企業と民間の公平な競争条件の整備、国内経済や金融システムへの外国からの参加を阻む障壁の削減などの措置が必要になる。

Growing Smarter

China has significant space to catch up on productivity

Sources: PennWorld Table 10.0, Bloomberg Economics

  中国にとって浮き沈みが激しかった過去100年を振り返ると、発展はあらかじめ約束されたものではないことが分かる。共産党創建100年の祝賀式典という性格上、過去40年の成功がことさら強調されたのは当然とも言えるが、それより前の経済成長の実績は控えめに評価してもはるかに見劣りする。

  習氏が国家主席の任期制限を撤廃させ、3期目も目指す中で、共産党支配の前半部分に大きく影を落とした指導部の機能不全の再来を懸念する向きもある。

  疑念が生じ始めれば、中国経済は米国との首位交代とは別の進路をたどる可能性もある。改革停滞とぎくしゃくした対外関係、労働力の縮小、金融危機に見舞われれば中国は万年2位にとどまる恐れもある。

Debt Risks, Data Doubts

原題:
When Will China Rule the World? Maybe Never(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE