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五輪間際のワクチン不足に戸惑う自治体、政府8月供給予定示せず

更新日時
  • 「供給というよりは偏りの問題」-福島県のワクチン担当者
  • ワクチン配分、大都市と地方のバランスが大事-加藤官房長官

「皆様に新型コロナワクチン接種予約キャンセルに関しましてお知らせいたします」。池袋なごみクリニック(東京都豊島区)は1日、接種予約のキャンセルを電子メールで通知した。「とても少ない数しかクリニックに供給できない」とする区からの連絡のためだ。

  同クリニックで使用されるのはファイザー製のワクチン。すでに7月中の供給が十分でない中、区によれば8月の供給予定に関する政府からの説明がないことで、やむなくキャンセルを通知せざるを得なくなった。

Japan’s Much-Maligned Vaccine Campaign Quietly Gathers Speed

神戸の大規模接種センター(6月)

Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg

  予約したにもかかわらずワクチン接種ができない状況は、23日から始まる東京五輪・パラリンピックを直前にしたいま、他の自治体にも急速に広がっている。予約受け付け自体を止める自治体も出始めた。

  NHKの報道によると、大阪市の松井一郎市長は2日、1回目接種の新規予約の受け付けを12日から一時的に停止すると発表した。前日の会見で松井氏は、各区ごとの集団接種とかかりつけ医での個別接種で使用するファイザーのワクチンについて、政府から8月の供給量が示されず、2回目接種分が確保できない可能性があり、「接種能力が供給量を上回った」と話していた。

  一方、山形市は6月25日から1回目接種の予約を全面停止とした。佐藤孝弘市長は「このままでは7月上旬、あるいは中旬にワクチンがなくなってしまう」との見通しを示した。時事通信によると、兵庫県丹波市や香川県高松市などもワクチン不足に悩まされている。

  2日には、千葉県千葉市が「国からのワクチン供給量が不透明」だとして、個別・集団接種会場における1回目の接種の新規予約の受付を一時停止すると発表した。

供給量は1億3000万回以上

  これまで日本政府は米ファイザー製のワクチンを同社の欧州製造拠点から輸入してきた。ブルームバーグが独自に入手した欧州連合(EU)理事会の資料によると、6月30日時点で日本向けワクチンは計1億3450万回分が輸出された。一方、米モデルナからは9月末までに5000万回分を受け取る契約を交わしている。

  ワクチンの円滑な供給には、円滑な分配も不可欠なことが浮き彫りになりつつある。世界保健機関(WHO)事務局長上級顧問を務め、現在は福島県相馬市の新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンターでセンター長をしている渋谷健司氏は、「供給というよりは偏りの問題」だと指摘。7月中旬の接種完了を目指す相馬市は、十分なワクチンをすでに手当済みだという。

  加藤勝信官房長官は2日の会見で、「ファイザー社のワクチン配分については自治体の人口、配送希望量、接種実績を勘案して配分している」との認識を示した。その上で、感染が深刻な大都市優先との要望と、地方優先との要望があり、「バランスをどうとっていくのかが大事」との見解を示した。 

(3段落目以降に詳細情報を追加して更新します)
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