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クレディ・スイス新会長、投資銀行に冷水-富裕層事業の「付属」か

  • ウェルスマネジメント以外を「付属的サービス」とホルタオソリオ氏
  • 行員らは疑心暗鬼、さらに大きな変化が控えているのではないか

クレディ・スイス・グループの投資銀行部門の行員たちは、アントニオ・ホルタオソリオ新会長が、多くの実力者らの退社で落ち込んだ士気を高揚させてくれると期待していた。だが、ロンドンで開かれた最近の会合で、その期待は急速にしぼんだ。

  ロイズ・バンキング・グループの最高経営責任者(CEO)から転身したホルタオソリオ氏はオンライン参加も含めて集まったバンカーたちの質問に答え、クレディ・スイスには素晴らしいウェルスマネジメント事業と「付属的なサービス」があると語った。新会長の発言を聞いた複数の関係者が明らかにした。

Day Two Of The World Economic Forum (WEF) 2020

アントニオ・ホルタオソリオ氏

  有力ディールメーカーやトレーダーらにとって、新会長の言葉は衝撃だったと、関係者らが述べた。投資銀行部門は他のどの部門よりも大きくクレディ・スイスの収益に貢献し、世界の投資銀行の中でもトップ10に入る。

  投資銀行部門にとって、ホルタオソリオ氏のコメントはプライドを傷付けられるというだけでは済まない可能性がある。新会長は4月の年次株主総会で既に、アルケゴス・キャピタル・マネジメントとグリーンシル・キャピタルに絡みクレディ・スイスが演じた役割を批判した上で、時間をかけて広範な戦略見直しを行うと表明している。新会長の計画と自身の将来への影響を推し量ろうと、全行員が神経を尖(とが)らせている。

  クレディ・スイスはコメントを控えた。

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  ホルタオソリオ氏が選択肢を模索している間にも、数十人の成績優秀な行員らが競合他行に移籍した。アルケゴス関連で55億ドル(約6100億円)の損失を被る前は、クレディ・スイスの投資銀行部門は助言やトレーディングの機会拡大で上り調子にあった。しかしアルケゴス後はヘッジファンド向けのプライムブローカー業務を縮小。一部顧客との取引もやめており、さらに大きな変化が控えているのではないかとの臆測をあおっている。

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  今回の一連の問題が最初に浮上した3月初め以降、50人以上のフロントオフィス人員がクレディ・スイスを去った。同行は優秀な人材を求める競合他社の草刈り場になってしまった。退社組には証券部門で重要な地位にあったマネジングディレクターが少なくとも20人含まれている。シティグループやJPモルガン・チェース、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループがその移籍先だ。

  金融危機で救済された英銀ロイズを再生させたホルタオソリオ氏は、その直接的な手法をクレディ・スイスにも持ち込み、就任から数カ月の間に批判と称賛の両方を呼び起こした。率直なアプローチはクレディ・スイスが必要としていたものだとの声もある。

  同氏は世界のオフィスを訪れ社員集会を開いた。ニューヨークでの会合では投資銀行部門の従業員らに、戦略見直しには時間がかかり予断を持たず取り組んでいると伝え、結果を待つ間顧客に集中し続けるよう促したという。話を聞いた関係者が明らかにした。

  投資銀行部門の行員にとって、アルケゴスは特に残念な事件だった。トレーディング好調とレバレッジドファイナンス案件や特別買収目的会社(SPAC)関連業務の活況で部門は数年来の好業績となるはずだった。

  M&A(企業の合併・買収)やトレーディングの環境はなお良好で、他行は人材引き抜きに動いている。このため、クレディ・スイスは特別ボーナスで引き留めを図らなければならなかったと関係者は述べた。

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  ベテランの投資銀行従業員には、ホルタオソリオ氏のコメントは劇的な変化のようには聞こえなかった。ティージャン・ティアム前CEOは国内同業のUBSグループに追随し、変動の激しいトレーディングとディールメーキングへの依存を減らし安定収益の得られるウェルスマネジメント事業へと軸足を移していた。クレディ・スイスは投資銀行部門に割り当てる資本を減らしている。昨年の報酬は2016年を下回る水準だった。

原題:
Credit Suisse’s New Chairman Sends Chill Through Investment Bank(抜粋)

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