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東芝のガバナンス改革道半ば、内向きの企業体質に課題-同調圧力も

  • 企業体質は昭和のまま、新しい時代へのフィッティング必要との声
  • 日常的に投資家と対話の機会を-人間に頼らないAI監査有効-識者

コーポレート・ガバナンス(企業統治)上の課題が浮き彫りとなった東芝は25日に定時株主総会を開催する。2015年の不正会計問題を受けて改革を進めてきた同社だが、識者からは企業体質そのものの変革には至っていないとの声が上がっている。

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東芝のロゴ(都内、4月)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  同社は10日、筆頭株主エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが選任した弁護士が取りまとめた調査報告書を発表。報告書では、昨年の株主総会でのアクティビスト(物言う株主)への対応について東芝幹部が経済産業省に支援を求め、議決権行使を妨げるような行為があったと指摘されていた。

  東京都立大学大学院の松田千恵子教授(企業戦略)は、水面下での株主対応を画策した東芝は、「オープンになりきれない企業体質そのものが昭和のまま」だと話す。「密室政治のようなことは必ずばれるというのが令和の教訓。そこにまだ至っていない」と、同社の内向きの体質を批判する。

  企業の規模が大きいために「新しい時代へのフィッティング」が遅れていることが原因の一つと分析している。車谷暢昭前社長の選任基準に問題があったとし、ガバナンスを機能させる上ではきちんとした基準の設定が重要になるとの見解を示した。

  慶応大学大学院の小林喜一郎教授(組織戦略論)も今回は「日本企業の内向性、例えば良くも悪くも日本的雇用慣行が大きく影響している」と指摘する。終身雇用で同じ社員が長期間同じ企業に仕えることで「内部者同士の同調圧力」が生まれるためだ。社内の上下関係もあり監査委員会のメンバー選定時などに意見を挟みにくくなることから、典型的な日本企業では内部監査に限界が生じやすくなると分析した。

監査委員長も一因

  調査報告書は、社外取締役で監査委員会の委員長を務めた太田順司氏が対応を怠ったことが不正行為の一因となったことも問題視。太田氏は、経産省の有識者会合「コーポレート・ガバナンス・システム研究会」の委員でもある。

  東芝は13日、報告書の指摘を真摯(しんし)に受け止めるとして、太田氏と同委員の山内卓氏を株主総会に諮る取締役選任案から外し退任させる計画を発表した。

  エフィッシモは17日、同社が3人の監査委員のうち2人の解任にとどめたことは、取締役会の責任を追及する意思がなく、東芝のガバナンスとコンプライアンス上の問題点をさらに増長させるとの見解を発表。改善に向けて東芝経営陣との建設的な対話を継続する考えを示した

  小林教授も投資家との対話の重要性を強調する。仲介役として外部のコンサルタントなども活用しつつ企業が日常的に投資家と対話する場を増やす必要があるとし、「欧米企業と比べると、やはりその頻度が少ない」との考えを示した。

  その上で、一般論として、企業の内部から昇進した人材にこだわらずにグローバルな経験を持つ人材の登用や、人間に頼らない人工知能(AI)を活用した内部監査の普及も必要だと訴えた。

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