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Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
cojp

中国の経済構造に変化-「クレジットインパルス」低下、減速意味せず

  • 建設業など与信集約型セクターの役割が小さくなる
  • サービス業やテクノロジーセクター台頭、新株発行や内部留保活用も

中国で製造業を営む楼仲平さんには、銀行や行政からの新規融資に関する提案が後を絶たない。楼さんは規模が小さめの企業にもようやく関心が向けられるようになったと感じている。

  米スターバックスなどに飲料用ストローを供給している双童日用品の経営者、楼さんは「多くの融資会社が資金を投じたいとか、もっと早く発展できるよう手助けしたいと言って接触してくる」と語った上で、「資金繰り環境はこれまでになく良好だ」と話す。

  中国当局は国内の与信拡大にブレーキをかけつつあるものの、必ずしも経済の伸びや商品需要の減速を示唆するものではないことを楼さんの経験は示している。与信と成長率の関係性にかつてほどの強さがないためだ。

Credit Drain

China's credit growth has continually slowed after a pandemic peak

Source: Bloomberg Economics

Note: The credit impulse is the change in new credit issued as a proportion of GDP

  新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に関連する輸出の好調は続く見通しで、今年は外需が中国経済のけん引役の1つとなっている。国内に目を向けると、新規融資が楼さんのような民間企業にも見られる一方で、多額の借り入れをしなくても事業を拡大できるサービス・テクノロジー企業が中国経済全体に占める割合も大きくなっている。

  ビジネスモデルの変化に伴い、高水準の負債を抱える不動産セクターへの投資と、与信が切り離されたと主張するエコノミストもいる。

クレジットインパルス

  中国ウオッチャーは景気循環の指標として、国内総生産(GDP)に対する新規貸し出しの伸びを示す「クレジットインパルス」に注目する。国内の不動産開発企業やメーカー、地方政府は新規の借り入れをてこに投資を進め、雇用や工業用製品・商品の輸入需要を後押ししてきた。

  これが生み出すのは、オーストラリアのGDPから新興国通貨の強さに至るまで、あらゆるものを関連付けるグローバルな産業サイクルだ。中国のクレジットインパルスと歩調を合わせて米国債利回りが上昇する傾向があったり、S&P500種株価指数が下がりやすくなったりする。

  中国当局がコロナ対応策の段階的縮小を探る中で、同国のクレジットインパルスは昨年終盤にピークを打ち、それ以降は低下傾向にある。しかし、これが国内経済の減速を必ずしも意味するわけではない理由を幾つか挙げる。

民間セクター

  中国人民銀行(中央銀行)は昨年、中小企業向けの貸し出しに限定した金融機関への資金供給を大きく増やした。公式統計や独自データによると、これで中小企業向け与信の割合は大幅に高まったことが示されている。

  民間企業は一般的に同じセクター内の国有企業に比べて効率性が高いため、民間投資は中国経済の生産力をより大きく高めることにつながることから、この点は非常に重要だ。

Credit Boost

Chinese private-sector reports an improvement in financing conditions

Source: Cheung Kong Graduate School of Business Business Conditions Index

Note: Based on survey of around 300 mostly private companies. A value above 50 means that the variable that the index measures is expected to increase, while a value below 50 means that the variable is expected to fall.

サービス業・ハイテクセクター

  中国経済の軸足はこの10年で重工業・投資から「ニューエコノミー」と呼ばれるサービス業・テクノロジーセクターへと移ってきた。中国のGDPに占めるサービス業の割合は昨年、約55%と10年前の45%から上昇した。

  サービス企業は設備など固定資産への投資が比較的少額で済むのが普通だ。多くの国・地域と同様にオンラインに移行するサービスは増えており、コロナ禍でデジタルシフトが加速していることを示す証拠もある。

  建銀国際の崔歴チーフエコノミストは「最も与信集約型のセクターである建設業はもはや需要押し上げの主な源泉ではなくなり、与信の伸びによる中国の成長サイクルへの影響はこの数年で薄れた」と話す。

内部留保とエクイティーファイナンス

  中国企業は新株発行や内部留保の活用など公式の与信指標には表れない方法で事業を拡大することも可能だ。PwCによると、中国本土の証券取引所への上場で調達した資金は昨年、前年からほぼ倍増した。

New Economy

Capital spending by China new economy companies surged in 2020

Source: Natixis

Note: Data compiled for China's top 3000 listed companies by asset size

原題:China’s Growth Decouples From Credit, With Global Implications(抜粋)

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