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リスボン発言が封殺した緩和縮小の議論-ECB総裁、ドラギ流踏襲か

  • 資産買い入れペース緩めるべきかという議論が総裁発言で封じられた
  • 合意形成を図るこれまでの総裁の方針が政策対応の遅れを招いた

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は金融刺激策のアジェンダ(協議事項)について、政策委員会メンバー25人のうち扱いにくいグループに対し、より厳しい姿勢で臨もうとしている。

  ECBは先週10日の政策委で、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」(総額1兆8500億ユーロ=約247兆円)の下でのハイペースの資産買い入れ継続を決めた。事情に詳しい複数の当局者によれば、この決定は、金融刺激の縮小を考えるのは「あまりに早過ぎる」「現実には不要」としたリスボンでの3週間前の総裁発言の影響が大きい。

  それらの発言の後に購入ペースを落とせば、経済に悪影響が出ると政策担当者らは判断したという。ECBの報道官はコメントを控えている。

  新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、経済活動が再開される状況で、資産買い入れペースを緩めるべきかどうか政策委の積極的な議論が勢いを増しつつあったが、ラガルド総裁の見解表明によって封じられた。

  こうした戦法は、まず耳を傾け合意形成を図ると2019年の就任時に約束したラガルド総裁の方針転換をうかがわせる。同総裁はそれをほぼ達成したとはいえ、パンデミック(世界的大流行)初期段階で金融政策対応の遅れにつながり、今年もユーロ圏の債券利回り上昇への政策委の対応を巡り混乱を招いたことは、ほぼ間違いない。

  既存の政策手段を使い刺激をどの程度提供すべきか判断しつつ、緊急措置の円滑な解除を進める必要があるコロナ危機の次の段階をそれが方向付ける可能性がある。最新の経済予測が得られるECBの9月の政策委は、景気回復がより定着し、インフレ率は目標を上回る可能性が高いと予想され、恐らく次の大きな試金石になるだろう。

  リスボンでの発言のようなアプローチは、自分が望ましいと考える行動をエコノミストや投資家に語る機会として、公開イベントを利用したドラギ前総裁の戦術と共通する部分が大きい。政策委として裏切るわけにいかなくなるとドラギ氏が後に主張した「期待」を醸成させる手法といえるだろう。

原題:Lagarde Takes Bolder Tone in Setting Agenda for Stimulus Talks(抜粋)

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