コンテンツにスキップする

日銀の社債購入、役割終えたとの声、副作用顕著-投資家74%不要

更新日時
  • 日銀は社債購入を続けるべきか、に投資家90社回答-大和証リポート
  • 同年限・格付けのANAHDとJAL債、10bpと大きな利率差

1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら

新型コロナウイルス対策としての日本銀行の社債買い入れは必要なくなりつつあるとの見方が市場で広がってきた。企業の資金繰りが回復しており、社債市場での副作用も目立ってきた。

  日銀社債購入について野村総合研究所の井上哲也主席研究員は、一定の効果を評価した上で、社債発行が可能な大企業には現在「貸し出しを含め全体として資金はちゃんと流れている」と述べた。このため「見直すとすれば優先度が高い」と指摘した。大和証券の17日付リポートによると、「現行の社債購入施策を続けるべきだと思うか」との投資家調査での質問に、回答した90社の74%が「いいえ」と答えた。

  18日の金融政策決定会合で日銀は社債購入を含むコロナ対策を継続するとエコノミストの6割が予想したが、外部環境は徐々に変化している。日銀短観での資金繰りDIは昨年6月の底から戻りつつある。米連邦準備制度理事会(FRB)は2日、保有する社債の段階的売却を発表した。

日銀社債買い入れ額は新発債の7割以上

20年度以降の社債買い入れオペと新発社債発行(5年以下)の累計額推移

ブルームバーグ、日本銀行

21年6月は15日時点。償還期間5年以下の普通社債。

  マネックス証券の大槻奈那専門役員は日銀社債購入について、米国に比べて日本はワクチン接種や景気回復が遅れている上、FRBに比べて日銀の買い入れ規模が巨額で市場への影響が大きいことを踏まえ「減額するのは時期尚早だ」と述べた。同時に「今秋以降にコロナ対策の立ち後れが解消すれば、日銀は減額の方針を示すべきだし、実際にそうするだろう」と予想した。

副作用

  社債市場で2日に条件決定したANAホールディングス債の利率は0.48%、4日の日本航空(JAL)債は0.58%だった。いずれも年限5年、格付投資情報センター(R&I)で「A-」という格付けも同じ。発行額も200億円、300億円と大きな差はなかったが、利率は10ベーシスポイント(bp)の大差がついた。

  ANAHDは人気が出やすいサステナビリティー・リンク債(環境・社会の持続可能性に関連した目標を設定する債券)だが、大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは商品性の違いで「そこまで影響するとは思えない」と語った。この差は需給が異なることしか考えられないとして「巨大投資家の日銀が一方を買い、他方は買わないことが影響しているという推測は可能だ」と語った。

日銀購入による社債市場への副作用関連の記事は以下

日銀社債オペが健全な投資阻むリスク、縮小または停止必要-日本生命

【起債評価】日銀オペ対象外で際立つ高利率、ジャックスに需要4倍超

  日銀で金融市場局長や決済機構局長を務めて19年2月まで在籍した山岡浩巳氏(現フューチャー取締役)は日銀社債購入について、対象をめぐる市場の見方が個別企業の信用スプレッドに影響を与えるのは「典型的な副作用だ」と話した。

  日銀はコロナ対策として社債とコマーシャル・ペーパー(CP)購入を20年3月に増額、同4月には残高上限を20兆円に拡大した。黒田東彦日銀総裁は5月27日のブルームバーグとのインタビューで、社債購入を含む一連のプログラムについて「当然感染症の影響を踏まえ、必要と判断すれば、さらなる延長も検討する」と述べた

(2段落に大和証券リポートを追加して更新します)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE