低ボラティリティーの夏、債券キャリートレードでリターンを
Stephen Spratt-
インプライドボラティリティーの指標は3月以来の低水準に
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静かな夏は8月のジャクソンホール会合まで続く見込み
債券トレーダーは動きの少ない夏の市場が恐らく8月のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)まで続くと見込んでいる。そこで、リターンを生み出すため債券のキャリートレードへの関心が高まっている。
静かな夏を予想する投資家のオプション売りで金利ボラティリティーは低下し、インプライドボラティリティーの指標は3月以来の低水準となった。ストラングルと呼ばれる米国債オプションの取引(アウト・オブ・ザ・マネーのプットとコールの売り)はプレミアムを稼ぐことができるが、ボラティリティーが高まった場合は無制限の損失のリスクがある。
ゴールドマンとモルガンS、米国債のボラティリティー低下に賭け

モルガン・スタンレーのマシュー・ホーンバック氏らストラテジストは4日のリポートで 「中央銀行の資産購入漸減(テーパリング)が遅れれば遅れるほど、プラスのキャリーは重要になる。利回りがレンジ内の動きになる中で、キャリーとロールダウンでリターンを得る取引の継続を勧める」としている。
いわゆるキャリー・ロールダウンは債券のクーポン(キャリー)と、利回り曲線が満期に向かって下降することに伴うキャピタルゲイン(ロールダウン)からリターンを得る。この取引は残存6年程度の債券が最も有利で、ブルームバーグの計算によれば3カ月で10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後を稼げる。

スワップ市場での同様の戦略では、1年先スタート2年物のドル金利スワップのロングによって同等のリターンが得られる。しかしこれらのキャリートレードにはどちらも、米連邦準備制度がタカ派に転じ利上げ観測の高まりから債券利回りが上昇することがリスクだ。
原題:Interest Rate Volatility Falls as Summer Carry Trades Begin(抜粋)