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黒田総裁下で初の月間ETF購入ゼロ-日本株に朗報と一部投資家歓迎

  • 5月のETF買い入れなし-13年の量的・質的緩和導入以降初めて
  • 市場の価格形成やコーポレートガバナンスの面でプラスとの見方

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一段のボラティリティーを覚悟の上で、一部投資家は日本銀行による株式市場介入の縮小を歓迎している。

  日銀が5月に上場投資信託(ETF)買い入れを完全に見送ったことで、同行の介入姿勢後退は真剣だと市場参加者の一部は確信した。月間ベースで買い入れゼロとなったのは、黒田東彦総裁が2013年に量的・質的緩和を導入してから初めてだった。

  日本株保有者として最大になった日銀の存在が市場の価格形成をゆがめ、コーポレートガバナンス(企業統治)改善の妨げになってきたとして、投資家は今回の日銀の動きを歓迎している。

  ピクテ投信投資顧問の松元浩常務は電話取材で、「重要な一歩」との認識を示した。市場への副作用は日銀の「株式保有比率が大きくなればなるほど」悪化すると説明した。

From Hero to Zero

The Bank of Japan didn't make any ETF purchases during the month of May, a first under Governor Kuroda

Source: Bloomberg

  日銀は3月の金融政策決定会合で、市場が大きく不安定化した場合に大規模な買い入れを行うことは効果的としつつも、ETF購入の目安である「年6兆円」の原則を削除。購入対象から日経平均連動型を除外し、TOPIX連動型に限定することも決めた。

  キャピタル・インターナショナルの投資ディレクター、クリストフ・ブラウン氏は5月末のリポートで日銀の措置について、最終的に日本株保有を抑制し金融緩和の長期的な持続可能性を巡る投資家懸念を和らげるための布石となると分析した。

  黒田総裁は5月27日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「政策点検でETFの買い入れ方針については、市場が大きく変動した場合に大規模に買い入れを行うことが効果的だということが示された」と説明。「市場の動向を見極めながら、必要に応じて買い入れていく」と語った。

強力な金融緩和、パンデミックから経済回復後も継続-日銀総裁一問一答

  日銀が保有するETFの時価は昨年11月末時点で推定45兆円を超え、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を抜いて最大の日本株保有者となった。日銀のETF買い入れ額は昨年だけで計7兆1400億円に上った。13年以降の年平均は4兆2000億円。

  大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは、「企業というものは上場している以上、市場評価が低ければ構造改革を行わなければならないことが自分で分かる。ただ、これまでは日銀が株価を買い支えるためそれが分からず、日本企業の構造改革が進まないというガバナンス不全があった」と指摘。「日銀のETF買いがトーンダウンすれば、今後は企業が個々で収益力を高めなければいけなくなる」と述べた。

  ただし、日本株の強気派にとって、日銀の市場介入縮小はタイミングが悪かった。新型コロナウイルスのワクチン接種がより進んでいる主要国・地域の株式相場に既に後れを取っていたほか、米インフレ高進を巡る懸念、新型コロナの国内感染拡大が投資家心理に影響。ブルームバーグがカバーする先進国・地域24市場の中で、日本株の年初来上昇率はかなり小さめだ。

  BofA証券の山田修輔主席為替・金利ストラテジストは今後は相場が「崩れたときに、日銀が入らない、以前よりは入らなくなると思う」として、「ちょっとショートしやすくなっているところはある」とコメント。その上で、価格形成のゆがみを批判していた向きが「逆に日銀の介入が減ったことで、日本のマーケットに戻ってくるというような動きも長期的にみるとあるのかもしれない」と付け加えた。

  TOPIXの株価収益率は今後12カ月の利益予想ベースで16倍弱。これに対し、米S&P500種株価指数は21倍余り。株価純資産倍率(PBR)はTOPIXの約1.3倍に対して、S&P500種は4.6倍、MSCI欧州株指数は2.1倍。このPBRベースで日本株は「さらに魅力的」に見えるとブラウン氏は指摘。「バリュエーション低下は日本株をまだ持っていないか、再び注目し始めたばかりの海外投資家にとって良いエントリーポイントになるかもしれない」と予想した。

原題:BOJ’s First ETF-Free Month Under Kuroda Wins Over Some Investors (抜粋)

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