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日本製鉄副社長、鋼材価格の是正待ったなしー広がる格差と募る危機感

「値上げが受け入れられなければ、やがて安定供給できなくなる」。鋼材の販売価格水準があまりに低いことに、国内鉄鋼メーカーのトップは警戒感を強めている。

  日本製鉄の森高弘副社長はインタビューで、「日本の鋼材価格は国際的にみて非常に陥没している」とした上で、「早期に改善が必要だ」と強調する。海外の主要なライバル企業と対等な立場で競争できる環境にすべきだと強く訴えた。

  顧客名は挙げなかったものの、森氏は「ひも付きと言われる大手ユーザーとの価格交渉を経て決める価格については、早急に是正していかないといけない」と述べた。通常、同社とトヨタ自動車は半期ごとに鋼材価格について交渉し、取り決められた価格は業界の目安にもなっている。

Kashima's Coastal Industrial Zone As Japan's Output Falls Again

日本製鉄の鹿島製鉄所(4月・鹿島市)

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  世界中で商品市況が上昇する中で鋼材の価格も中国や北米で高騰しており、主要メーカーは高収益を上げるようになった。だが、森氏は、海外メーカーのように価格転嫁が進まないことで収益格差は開いていると指摘。具体的な言及は避けたが、内外価格差には「大きな差がある」という。

  さらにこうしたギャップの広がりは、企業努力で賄える範囲を超えてきているという。森氏はこれまでの取り組みについて、「去年の下期には血の出るような思いで損益分岐点を下げた。海外のメジャープレイヤーと比べてコストが高いということはない」と述べた。

  日本製鉄と JFEホールディングスの収益は、2021年3月期の下期に急回復したものの、欧州の大手アルセロール・ミタルや韓国のポスコといったライバルほどの勢いはなかった。

理不尽な安さ

  日本製鉄の橋本英二社長も先週、国際的にみて「理不尽な価格」が是正されなければ安定供給に責任を持てなくなると強調した。国内メーカーの収益確保が遅れると「脱炭素に向けた新設備や製品の改良のための十分な資金確保ができない」結果につながりかねない、と森氏は話す。特に鉄鋼業の脱炭素化競争が始まっている中で、十分な資金の確保は必須になる。

  森氏は、世界の鉄鋼市場の見通しについて、粗鋼生産の半分以上を占める中国が今年、減産を計画している一方、世界全体の需要は高まるため、今年度はさらに需給が引き締まるとみている。また、鉄鉱石の価格は今後、1トン当たり190ー200ドル程度で推移し、中国のベンチマークである熱延鋼板は現状の高い水準を維持するとみている。

原題:Japan Steel Giant Says Higher Prices Needed to Guarantee Supply(抜粋)

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