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激務の米法律事務所、弁護士にボーナス1800万円も-人材引き留め狙う

  • クーリーはアソシエイト弁護士への一時金支給発表-他も追随
  • 週100時間勤務になることも多い業界、昨年ボーナス急増-勢い続く

米カリフォルニア州パロアルトに本拠を置く法律事務所クーリーは昨年9月、アソシエイト弁護士に2500-7500ドル(約27万5000-82万7000円)の一時金を支給すると発表した。手元資金が潤沢であり、新型コロナウイルス禍で従業員に燃え尽き症候群が生じていると認識する中での決定だった。

  感謝の印として支給したボーナスのはずだったが、クーリーの動きにデービス・ポーク・アンド・ウォードウェルやウィルキー・ファー・アンド・ギャラハーなど他の法律事務所も早速追随した。一時金の支払いが1年に2回となり、今では3回に増える可能性もある。

  シニアアソシエイトでは昨年のボーナスが最大14万ドルに急増。今年も勢いが止まらず、年末までに給与に加えて一時金が16万4000ドル(約1800万円)まで膨らむこともあり得る。また、各事務所は休暇の拡充を約束し、在宅勤務の整備もさらに進めた。全ては週100時間勤務になることも多い中で優秀な人材を呼び込み、引き留めるためだ。

Big Law's Bonus Wars

  米法律事務所業界ではボーナス急増が一種の条件引き上げ競争のようになっているが、そもそも給与は横並びが長らく続いていた。クラバス・スウェイン・アンド・ムーアが毎年設定する賃金に追随するという「クラバス基準」をベースに米大手法律事務所の弁護士は伝統的に稼いできた。

  2020年後半は事業再生の届け出に加え資本増強に向けた新たな取り組み、特別買収目的会社(SPAC)の合併活発化などが重なり、企業関連の案件が相次いだのもボーナス急拡大の一因だった。  

  法務需要が急増する前の昨年夏には、コロナ禍を受けて法律事務所は最悪の状況に身構えていた。経済の大幅な落ち込みは避けられないとの想定で職員の一時帰休に踏み切る事務所があった一方、弁護士やスタッフの給与を削減するところも多かった。しかし、20年が終わってみれば上位100の法律事務所が得た収入は1110億ドル近くと、19年から6.6%増えた。ザ・アメリカン・ロイヤーのデータが示した。 

  波及効果はニューヨーク市やシリコンバレー以外の地域にも広がり、今や比較的規模が小さい法律事務所やロンドンなど米国以外にある事務所も、大手が繰り広げる若手引き留めのためのボーナス支給競争に加わっている。英国に本拠を置く大手法律事務所の一部も給与の5%に相当する一時金を提供した。

週7日勤務

  サンフランシスコで設立された国際法律事務所、オリック・ヘリントン・アンド・サトクリフのミッチ・ズークリー会長兼最高経営責任者(CEO)は、勤勉なアソシエイト弁護士には一定のリカバリー期間も成績の向上に必要だと話す。

  オリックは燃え尽きを防ぐため、所属弁護士やスタッフに年40時間の息抜きを追加で付与する「アンプラグ・タイム」ポリシーを最近導入。ズークリー会長によると、現時点でアソシエイト弁護士の15%が同プログラムを利用した。

  ズークリー氏は「非常に優秀な人材が大金を積まれてもこの仕事はやりたくないと言うようなら、大きな問題だ」と指摘。「耳を傾けてそれに関して考え、真剣に受け止めないといけない」と語る。

  1日13、14時間勤務が何日も続いた後、大手法律事務所を昨年辞め、規模が小さな事務所に移ったアソシエイト弁護士は「あの時は名声などどうでもよくなった。昼夜を問わずひどい時間を過ごしていて、人間として扱われてるような気がしなかった」と振り返る。「自分が契約したことだとは分かっているが、週7日も休みなしで働けない」と話した。

原題:
Lawyers Get $164,000 Bonuses to Keep Working 100 Hours a Week(抜粋)

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