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OPECプラスに漁夫の利-メジャー窮地、原油高でも今回増産できず

  • 70ドル近くまで価格が上昇する現状でも石油各社は増産急いでいない
  • OPECプラスは協調減産の縮小を継続し、供給をさらに増やす公算

「今回は違う」というのは、ビジネスで最も危険な言葉かもしれない。歴史が繰り返さない方向に賭け、数十億ドルがこれまで失われてきた。けれども石油業界では今回ばかりは違う展開になりそうだ。

  北海原油代表油種ブレント先物相場が1バレル=70ドル近くまで上昇する現状でも石油各社は増産を急いでおらず、このようなことは過去数十年なかった。米国のシェールオイルブームの中心であるパーミアン盆地でも、掘削業者は好不況の循環に合わせて支出する伝統的なパターンに抵抗している。

  石油業界は窮地に追い込まれている。ウォール街の投資家は掘削への支出を減らし、株主への還元を増やすよう要求しており、気候変動問題の活動家は化石燃料に反対する動きを強めている。

  米メジャー(国際石油資本)のエクソンモービルは先週、アクティビスト(物言う投資家)提案の少なくとも2人が株主総会で取締役に選任されるという屈辱的な敗北を喫した。石油業界で起きたこの劇的な出来事は、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」にとって、産油量を回復させる余地を高めるだけだ。

  OPECプラス以外の産油国の生産量は、過去の経験に基づき多くが予測ないし恐れていたほど速いペースで回復しておらず、OPECプラスは6月1日の閣僚級会合で、協調減産の縮小を継続し、原油供給をさらに増やす可能性が高い。

  OPECプラス以外の産油量は今年日量62万バレル増える見込みだが、これは2020年の減少分(同130万バレル)の半分にも満たない。来年以降の原油生産は米国とブラジル、カナダを含む一部少数の国で増える一方、英国やコロンビア、マレーシア、アルゼンチンでは減る見通しだ。

  OPECプラス以外の生産の伸び悩みは、これまでのところ市場でそれほど意識されていない。22年までには新型コロナウイルスワクチンの接種が効果をもたらし、世界の原油需要は拡大が見込まれる。イラン核合意再建に伴う同国産原油の市場復帰が一部を賄うとしても、需要はそれを上回る公算が大きい。

  OPECプラス以外の原油生産の増加ペースが世界の原油需要に追い付かない状況では、OPECプラスが市場の支配権を握ることになると石油会社幹部やトレーダーは予想している。

Exxon to Close Altone Refinery as Australia's Capacity Dwindles

エクソンモービルのアルトナ製油所(オーストラリア・ビクトリア州)

Royal Dutch Shell Plc Pernis Oil Refinery Ahead of Earnings

ロイヤル・ダッチ・シェル製油所の石油サイロ(オランダ・ロッテルダム)

原題:This Time Is Different: Outside OPEC+, Oil Growth Stalls(抜粋)

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