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パラリンピック安全開催を確信、東京大会には大きな意義-IPC会長

  • IPCはパラスポーツを通じた社会変革目指す、多様性が「資産」に
  • 選手は「感染症による不自由さも挑戦の延長線上」と受け止め

新型コロナウイルス感染の収束が不透明な中、東京五輪から1カ月後の8月には障害者スポーツの祭典、パラリンピックが開かれる。国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長は、大会の安全開催を確信しているとの考えを示した。

Day 1 of the IPC Conference

アンドルー・パーソンズ会長

  パーソンズ氏は24日のインタビューで、東京パラリンピックについて「感染の大幅な拡大を引き起こすかもしれないと思われる場合には開催しない可能性もある」とした上で、アスリートや大会関係者の行動指針を定めた「プレーブック」には十分な対策が規定されつつあり、6月の最終版が公表されれば安心感も持てるだろうと語った。  

  パーソンズ氏は、世界から参加する約4400人の障害者アスリートが東京で競技することには大きな意義があると考えている。IPCは、パラスポーツを通じた社会変革を目指しており、2016年のブラジル・リオデジャネイロ大会では街中の障害者向け設備の改善に焦点を当てた。

  一方、「東京はバリアフリー化の進んだ街だが、障害者が自由に外出する姿を見ることは少ない」と指摘。障害者が特別な保護対象と見なされ自宅にこもりがちだとして、パラリンピックを創設したルートヴィヒ・グットマン医師が70年前に掲げた「身体の不自由な人を納税者に」との理念を共有し、障害者の社会参画を促したいと述べた。

意識変えるチャンス

  日本では2000年ごろから公道の段差解消や視覚障害者誘導用ブロックなどインフラ整備が進み、鉄道駅などの旅客施設では整備率が約9割に達している。一方で、障害者の法定雇用率(20年時点で2.2%)を達成した企業は約半数にとどまっている。法定雇用率は今年3月に2.3%に引き上げられた。

  障がい者総合研究所の戸田重央所長は、ハード面が整ったことで障害者に対する関心はむしろ低下しているようだと述べ、あらゆる国の多様な人種や障害を持つ人々の競技に触れることは、人々の「意識を変える意味で稀有なチャンスだ」と期待感を示した。

  パーソンズ氏は、組織委の森喜朗前会長の女性蔑視発言によるトップ交代は「良い意味でジェンダー議論につながった」とし、性別や人種を含めた広い多様性が「社会の資産」になるとの考えを示した。

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歴史上最も重要な大会に

  8月24日に始まるパラリンピックでは、大会関係者を含め約2万3000人が集まる見通しだ。パラリンピック選手の感染リスクが高いとする医学的なデータはないが、免疫疾患を抱える一部の選手にとっては感染後の重症化リスクが高く、相応の準備が必要となる。

  パーソンズ氏は、感染症は社会のあらゆる階層で等しく困難な状況を生んでいるのが現状で、障害を持ちながらもチャレンジを続けてきた選手は「感染症による不自由さも挑戦の延長線上」と受け止めていると指摘する。

  大会は困難と闘うあらゆる層の人に関心を持ってもらえる可能性があり、「歴史上、最も重要な大会になるだろう」と語った。

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