コンテンツにスキップする

10兆円大学ファンドは株6-7割必要、オルタナ投資も-WG座長

更新日時
  • リスク量を決めリターンを最大化、株式の「暴落時は買い場」
  • 大学への拠出は年3%程度、ランキング向上やノーベル賞を目指す

1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら

政府が創設する10兆円の大学ファンドの「資金運用ワーキンググループ(WG)」座長を務める米コロンビア大学の伊藤隆敏教授は、大学支援に必要な拠出金を確保するために、基本ポートフォリオの株式比率を6-7割とするべきだとの考えを示した。

  伊藤教授はインタビューで、資金を拠出しながら運用資産を拡大するのは「一番チャレンジングだ」とし、公的年金よりも「高度な運用が必要」と述べた。株式比率を公的年金よりも高く設定し、10年かけて未公開株(PE)や不動産などオルタナティブ(代替)資産を「結構なシェア」に増やしていく必要があるとの見解を示した。

Columbia University Professor of International & Public Affairs Takatoshi Ito Interview

米コロンビア大学の伊藤隆敏教授

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ポートフォリオに関する考え方は、伊藤教授の個人的見解で資産運用WG全体の同意は得られておらず、各種シミュレーションや議論を踏まえて決定する。

  当面は資金拠出の必要がない公的年金に比べ、早期に資金拠出の必要な大学ファンドは、よりリスクを取った運用が必要になる。同ファンドの大学への拠出は年間で運用資産の3%程度と想定しており、運用目標は消費者物価(CPI)上昇率に3%を上乗せした水準が想定されているという。

主要国政府の科学技術予算

出所:科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2020」

  伊藤教授は、リスクを最小化して運用目標を達成するという考えは「間違いだ」とし、「重要なのは、リスク量を決めてリターンを最大化するという考え方だ」と語った。実現には、自由な資産配分と長期的なオルタナへの投資を「明文化すべきだ」と話した。

  また過去の金融危機の教訓として、「暴落したときは買い場」との認識を共有すべきだと主張。米国で大学の資金を共同運用するコモンファンドが導入する、危機時の運用対応を定めた「クライシスプレイブック」を作る必要性にも触れた。

  運用担当理事(CIO)に求める人材像については、「株と債券をきちんと運用したことがあるというのが最低条件」で、米国の大学ファンドの運営や委託による資産運用の経験ある人、バイサイド・セルサイドの両方が見える人が「ベスト」と述べた。運用の自由度を上げるために「10年間任せる」というような長期ガバナンスを作ることも重要だと語った。

  大学ファンド創設の背景には、米国や中国に大幅に劣る予算が招いた科学技術力低下への危機感がある。1990年代に世界4位だった引用数などを基準にした上位10%論文数は、11位に低下した。日本の大学や論文のランキングを上げていくとともに、ノーベル賞を増やしていくことも目的だ。

10兆円大学ファンド、低金利下の運用にジレンマ-収益か安定か

(伊藤教授の発言を追加します)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE