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米景気回復、サプライズに満ちた起伏の激しい道筋に-シナリオに誤算

  • 混沌とした回復過程になりそうだ-ウェンディ・エーデルバーグ氏
  • 「K字型」回復というよりも、先端が幾つにも分岐した回復の様相

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ウォール街やワシントンではつい最近まで、新型コロナウイルスワクチンの接種進展に伴う経済活動の再開で個人消費が再び活性化し、好景気が訪れるという回復シナリオが有力だった。

  しかし、最新のデータから浮かび上がる現実は、潜在的なサプライズに満ちた起伏の激しい回復の道筋だ。

  失業保険給付上乗せが失業者の間で仕事への復帰意欲をそいでいるとの議論や、このところの物価上昇がいかに懸念すべきものか、あるいは米金融当局が指摘するようにそれほど心配ないのかといった疑問について、どのような解釈をするとしても、経済が発しているシグナルは混乱に満ちている。

  具体的には、予想よりもずっと不振だった4月の雇用統計や、予想を大きく上回った同月の消費者物価指数(CPI)上昇率に加え、4月に失速した小売売上高、高水準に跳ね上がった予想インフレ率などが挙げられる。

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  一連の問題の核心にあるのは労働市場の情勢だ。新型コロナ禍の影響で労働人口の3分の1が失職ないし転職を余儀なくされた後、1000万人近くを仕事に復帰させるのには時間がかかる一方で、雇用主の一部は旺盛な求人動向の下で新規採用に血眼となっている

  議会予算局(CBO)のチーフエコノミストを務め、現在はブルッキングス研究所で包摂的な経済成長を目指すハミルトン・プロジェクトのディレクター、ウェンディ・エーデルバーグ氏は「この回復過程は混沌(こんとん)としたものとなりそうだ」と話した。

U.S. economy added only 266,000 jobs in April, well below forecast

  データの解釈をさらに複雑にした要因の1つはコロニアル・パイプラインへのサイバー攻撃で、米東海岸では一時ガソリン不足が広がり、共和党からは1970年代のエネルギー危機を想起させるとの声も上がった。

  自動車メーカーなどの製造業がサプライチェーンのボトルネックに見舞われたのに合わせ、このサイバー攻撃は米景気回復が予期せぬショックにいかに脆弱(ぜいじゃく)かを浮き彫りにした。

  バイデン大統領は総額4兆ドル(約438兆円)ものインフラ計画と社会保障拡充計画を通じ、高賃金の雇用を数多く創出する野心的な提案を行ったが、推進に向けて連邦および州レベルで大きなハードルに直面している形だ。

  米経済が立ち直りつつあるのは確かであるものの、多くが予想した「K字型」回復というよりも、先端が幾つにも分岐した回復の様相を呈している。

  人々の生活を一変させ、経済のてこ入れに何兆ドルもの政府支援が必要となった新型コロナ禍の結果、多くの人々がどれほどの再調整を強いられたのかについて、エコノミストは過小評価していたのかもしれない。

原題:U.S. Economic Rebound Proves More a Grind Than a Boom(抜粋)

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