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日産、半導体不足で経営再建不透明に-今期は50万台の生産に影響

更新日時
  • 後半挽回も4-6月中心に影響、今期営業損益収支トントンの見通し
  • 構造改革取り組みは着実に成果、中計利益率目標達成に自信-CEO

日産自動車は11日、今期(2022年3月期)の営業損益が収支トントンとなる見通しだと発表した。長期低迷した販売には回復の兆しが見られる一方、世界的な半導体不足や原材料価格高騰などの影響が大きな重しとなる。

  日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は同日のオンライン記者会見で、今期の自動車市場は半導体の供給不足で不透明な状況が続くと見ており、「当社も例外ではなく、第1四半期を中心に影響を受けると見込んでいる」と説明。

  内田氏によると、半導体不足により今期で約50万台の生産に影響するが、下期でその約半分を挽回する想定をしている。半導体不足に加えて、「材料の市況が日々高騰している状況」といったビジネスリスクに対して「われわれの努力でブレークイーブンのレベルまで持っていく」と語った。

  日産は2期連続で続いた営業赤字からは脱却するものの、市場予想を大幅に下回った。ブルームバーグが事前に集計したアナリスト15人の今期の営業損益の予想平均値は1330億円の黒字。

Nissan Motor Headquarters As The Automaker Boasts Brexit Advantage With Rare U.K. Battery Supply

日産本社(1月25日、横浜市)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  発表資料によると、日産は純損益は600億円の赤字を見込む。前期の年間配当は無配で今期については未定とした。

日産の今期業績予想
  • 売上高:9兆1000億円(前年同期比16%増、市場予想9兆2955億円)
  • 営業損益:収支トントン(前年同期は1507億円の赤字、市場予想1330億円の黒字)
  • 純損益:600億円の赤字(前年同期は4487億円の赤字、市場予想1248億円の黒字)

  内田氏は、日産が5月に発表した中期経営計画の「取り組みの成果は着実に結果で表われている」と語った。その上で「われわれの財務規律の徹底と新車で価値を創出する、いわゆる過度な台数を求めるのではなく質の向上を図るというのは着実にできている」として、中計で掲げた24年3月期に営業利益率5%との目標は達成できるとの考えを示した。

  決算会見に同席したアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は、前期に3500億円以上のコスト削減を実施したことにより、販売台数の損益分岐点が19年3月期の約500万台から約440万台まで下がったと明らかにした。

日産の今期の主な計画値
  • 世界販売台数440万台(前期比8.6%増)
  • 為替レート:1ドル105円(前期106.1円)、1ユーロ120.8円(同123.8円)
  • 研究開発費5400億円(前期5035億円)/設備投資4400億円(同4054億円)

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは11日のメモで、コロナ感染拡大などリスクや部品不足などの物流上の問題、材料価格の高騰を踏まえても日産の業績予想は「保守的」との見方を示した。 

  昨年2月の臨時株主総会では内田氏が業績改善に自らの首を賭けると宣言したが、その後世界各地で新型コロナ感染が急速に拡大するなどで誤算もあった。さらに、世界的な半導体不足がルネサスエレクトロニクスの工場火災で長期化する恐れも高まっている。

  野村証券はルネサス工場の火災に伴う半導体不足の深刻化で、日系自動車メーカー7社の世界生産は上期(4-9月期)に135万台減少すると予想。下期(10-3月期)に減産分の約7割相当を増産で挽回可能と見込むものの、22年3月期では3000億円の営業減益要因になると試算している。日産は3月に半導体不足により北米で生産停止を行ったほか、4月と5月も減産の実施が報じられている。

  コロナ禍の影響などで一時的に落ち込んだ販売は、スポーツタイプ多目的車(SUV)「ローグ」(日本名・エクストレイル)などの新型車を相次いで投入したことで徐々に正常化に向かっており、グプタ氏は米国などで販売シェアが高まっていることを明らかにした。

(決算の詳細や日産幹部の会見コメントを追加して更新します)
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