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【コラム】金融市場を待ち受ける金利ショック-ビル・ダドリー

イエレン米財務長官は最近、インフレ抑制のためにある時点で金利は上昇しなければならないかもしれないと発言した。これを受けて金融市場に大きな動揺が広がったため、イエレン氏は後から説明を加えなければならなかった。

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  しかし、同氏の最初の発言はそもそも正しいものだった。さらに踏み込んで言えば、米金融当局が先行き利上げをする必要があるばかりでなく、政策金利は投資家の予想よりもはるかに高くなる可能性がある。

  市場は米短期金利が長期にわたり超低水準にとどまると予想している。2027年までをカバーするユーロドル先物市場は米短期金利がたった2%で頭打ちとなることを示唆している。この予測が恐らく低過ぎると私が信じる理由は次の2つだ。

  まず、中央銀行が経済成長を支援も抑制もしない中立金利について考えてみよう。連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の最新の経済予測から判断すると、当局者らは長期的なインフレ率を2%に保つ政策金利は2-3%の間のどこかだと考えている。中央値は2.5%だが、これはインフレ調整後の実質中立率が0.5%であることを意味する。これは過去の長期的平均である約2%を大きく下回っている上、過去の例から判断すれば、当局が引き締めサイクルを終えたと言えるまでには、中立よりかなり高い水準まで金利を引き上げなければならないだろう。

  第2に、連邦準備制度の新たな長期政策枠組みは、政策金利のピークがさらに高くなることを意味する。当局はインフレ率が一定期間、目標の2%を超えると予想されるまで利上げを開始しないとしている。これは恐らく、最大限の雇用を超えて経済を過熱させた後に、景気減速のための引き締めが必要になることを意味する。どこまで引き締めが必要かはインフレの動向次第であり正確に予測するのは難しいが、政策金利が3%に達するか、それを超えることは想像に難くない。

  例えば、インフレ率のピークを2.5%と仮定すれば、政策金利は名目で3.5%、インフレ調整後の実質ベースでは1%と、やや引き締め気味の政策が妥当となるだろう。インフレ率がさらに0.5ポイント高い3%に達した場合は、もっと強い引き締めが必要となり、政策金利は名目で4.5%、実質ベースでは1.5%にまで引き上げられることも想定される。非常に高く感じられるかもしれないが、08年の金融危機に先立つ引き締めサイクルでのフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のピークは5.25%だった。

  投資家はFF金利誘導目標が2.5%を超えることがなかった前回の景気サイクルに焦点を絞っているため、高い政策金利を予想しにくいのかもしれない。また、20年に新型コロナウイルス禍が襲ったように、何か別の衝撃が回復を頓挫させ金融当局が進路を変更する可能性が懸念されているのかもしれない。しかし、新型コロナ後の回復のスピードは緩和的な金融政策および財政政策とともに、経済が負の衝撃に影響される可能性を低くするだろう。

  私が正しいかどうかが分かるまでには何年もかかるかもしれない。引き締めサイクルは幾つかの段階がある。まず資産購入の縮小についての議論があり、次に実際の縮小、最後に政策金利引き上げが来る。当局者の大部分はこの第3段階が始まるのは24年以降とみている。

  景気回復のスピードが予想よりも速いことから、私はもっと早いタイミングを見込んでいるが、正確な時期にかかわらず、金融当局は現在市場が想定しているよりはるかに大幅な利上げが必要になる可能性がある。これは米国の株式と債券市場にとって難しい環境を生じさせるだろう。

(ビル・ダドリー氏は前ニューヨーク連銀総裁で、現在はプリンストン大学経済政策研究センターのシニアリサーチスカラー。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:
Markets Are In for an Interest-Rate Surprise: Bill Dudley(抜粋)

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