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デジタル人民元、「全く興奮しない」と実験参加者-管理強化に懸念も

  • アントやテンセントがキャッシュレス主導-切り替える機運乏しい
  • 中国特有の懸念-デジタル元でも世界決済シェア高める効果小さいか

中国人民銀行(中央銀行)が世界の主要中銀として初の「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の実用化に近づく中で、グローバルな影響を巡りさまざまな観測が広がっている。

  デジタル人民元を巡っては、歴史学者のニーアル・ファーガソン氏が何十年にもわたり米国が握ってきた金融覇権に対する「潜在的に重大な挑戦」だとし、フランクリン・テンプルトンのマイケル・ハッセンスタブ氏は世界の準備通貨としてのドルの役割を損ねる可能性があると指摘する。

  バイデン米政権は自国の利益に及び得る脅威に関して分析を進める。だが、中国国内でデジタル人民元を既に利用したことがある人に話を聞くと、芳しくない反応が返ってきた。

ドル支配で金融面に弱さ抱える中国、デジタル人民元は打開策か

Payment Giants

Ant Group and Tencent dominate China's mobile payment market

Source: iResearch

Note: data as of second quarter of 2020

  中国ではこれまでアント・グループやテンセント・ホールディングス(騰訊)がキャッシュレス化を主導。ハイテク企業が集まり、デジタル人民元に関する国内最大の実証実験を拡大したばかりの深圳市でブルームバーグが参加者に取材したところ、アントとテンセントが運営するモバイル決済からの切り替えに関心があるとの声はほとんど聞かれなかった。

  デジタル元の実用化で金銭のやり取りに関するリアルタイムデータに当局がアクセスしやすくなる可能性に二の足を踏む人もいた。

デジタル人民元、アリペイやウィーチャットペイと併存へ-中国人民銀

  深圳市の実験参加資格を持った50万人余りの1人で、通信業界で働くパトリシア・チェンさん(36)は「全く興奮しない」と漏らす。

  ブルームバーグの取材に応じた7人の参加者からは、誰一人として世界の為替市場におけるデジタル人民元の将来的な役割に関する洞察は得られなかった。中国が国内外でのデジタル元の普及に向けた地ならしを進める中で、習近平指導部が直面する課題が浮き彫りになっている。

 

  最終的にデジタル人民元の利用を当局が国民に納得させる、あるいは強制できたとしても、中国特有の資本規制や共産党主導の法制度、国家の監視などを警戒する内外の消費者や企業にも同じ対応ができるのかは全く分からない。

  こうした懸念もあって世界の決済全体に占める人民元のシェアは約3%にとどまり、世界貿易や経済への中国の寄与に見合った水準を大きく下回っている。

  シンガポールに拠点を置くコンサルティング会社カプロンアジアのマネジングディレクター、ゼノン・カプロン氏は、デジタル人民元によるシェア押し上げについて1ポイントを大きく上回る効果は見込みにくいと明かす。中国経済や金融システムの構造改革が講じられなければ、「世界的なインパクトは非常に小さいだろう」と述べた。

原題:China’s Much-Hyped Digital Yuan Fails to Impress Early Users (1)(抜粋)

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