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投資家はテーパータントラム戦略を準備、米当局の購入縮小は不可避

  • リスク資産のバリュエーションが高いため油断できる余地は小さい
  • 金利への感応度が高い投資適格級社債よりジャンク債を選好

米連邦準備制度が経済への金融支援を縮小させる日が容赦なく近づく中、2013年のボラティリティーがまだ記憶に新しい投資家はテーパータントラムに負けないポートフォリオ構築を図っている。

  8年前の今月、米金融当局が危機対応の債券購入を縮小し始める可能性を当時のバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が示唆し、世界の利回りは急上昇、リスク資産は下落した。今回も同様にボラティリティーが高まることを警戒するファンドマネジャーの一部は、デュレーション(平均回収期間)が短めのハイイールド債に目を向けている。一方、債券購入のテーパリング(段階的縮小)でタントラムは起こらないとみて新興市場資産に賭ける投資家もいる。

  エコノミストらが米当局は年内に購入縮小を開始すると予想する一方で、FRB当局者らは新型コロナウイルス危機対応の政策の変更を議論するのは時期尚早だと繰り返している。ただ、英国カナダの金融当局が経済の改善に伴い購入ペースを緩めたことは、米国もテーパリングを永久に先送りはできないことをトレーダーらに思い出させた。

英中銀、債券購入ペース減速-ホールデン氏は購入目標の減額を主張

  MFSインベストメント・マネジメントの投資責任者兼債券ディレクターのピラー・ゴメスブラボー氏は、「市場にとって最大の脅威は2月終わりに見られたように金利ボラティリティーが急上昇することだ」と述べ、「リスク資産のバリュエーションが高いため、油断できる余地は小さい」と指摘した。

  同氏は資産クラスとしてジャンク債を選好している。デュレーションが長めで金利への感応度が高い投資適格級社債に比べ、ジャンク債は利回りリセットからの影響が少ないからだ。

  また、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのクレジットストラテジスト、シェリフ・ハミド氏は、レバレッジドローンはさらに優れた選択肢であり、一部の「ストレスト」債は市場全体のリプライシングとの連動が小さいだろうと指摘する。

  投資適格債には既に圧力がかかっており、ブルームバーグがまとめたデータによれば高格付け社債に特化した最大の上場投資信託(ETF)からの資金流出は13年以来で最長となっている。

Largest investment-grade ETF suffers longest run of outflows since 2013

  13年のテーパータントラムでは、米国債利回りがバーナンキ議長発言後の1カ月で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。同期間にMSCI新興市場指数は14%下落。

  今回については、債券市場の動きの多くは既に起こっている可能性があり、新興市場資産も前回よりはるかに持ちこたえるだろうと、世界最大の資産運用会社であるブラックロックはみる。

  ブラックロック・インベストメント・インスティチュートのアジア太平洋地域担当チーフ投資ストラテジスト、ベン・パウエル氏は、「利回りは幾らか上昇し得ると今も考えているが、戦術的には経済再開の大々的なリプライシングはほぼ終わったとみている」と述べた。

  10年物米国債利回りは今年に入り約66bp上昇し、6日は約1.57%で取引された。

  ブラックロックはまた、景気回復と手厚い刺激策、安定したドル相場の組み合わせによって、途上国資産を含むリスク資産は中央銀行の段階的な支援引き揚げの影響の多くを乗り切れるとの見方を示した。

ジャクソンホール

  通貨、米国債、米国株のインプライドボラティリティー(予想変動率)は2月終わりに緩やかに上昇した後に低下し、投資家が米金融当局によるテーパリング発表を差し迫ったリスクと認識していないことを示唆した。一方、オプション市場の動きは、8月のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)が、テーパリング議論開始の場となる可能性が高いとのトレーダーの見方を示している。

Implied volatility has settled down across asset classes

  また、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨をよく分析する必要があると指摘する。 テーパリング議論が最初に現れる傾向があるという。4月会合の議事要旨は5月19日に公表される。

原題:Investors Prepare Taper Tantrum Strategy as Fed Demurs On Timing(抜粋)

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