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インドが世界最大のコロナ危機に直面、モディ政権の高支持率に影響か

  • インドのコロナ感染第2波、拡大の一途-病院は患者であふれる
  • モディ首相は地方選で遊説-支持率74%もコロナ対応への批判根強い

インドの新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者が23万4000人を超えた今月17日、西ベンガル州アサンソルで大規模な選挙集会を開いたモディ首相は「これほどの大群衆は見たことがない」とツイートした。

  その後もインド国内のコロナ感染第2波は拡大の一途をたどっている。今やインドは世界のコロナ感染のホットスポットであり、新規感染で世界最多記録更新が続いている。医療従事者や一般市民が酸素吸入器を必死に求める中で、患者であふれる病院の映像がソーシャルメディアで拡散されている。

Prime Minister Narendra Modi Addresses Campaign Rally For West Bengal Assembly Election At Barasat

西ベンガル州の選挙集会で演説するモディ首相(4月12日)

Photographer: Hindustan Times/Hindustan Times

  首都ニューデリーや金融都市ムンバイではロックダウン(都市封鎖)が導入されており、静寂を破るのは救急車のサイレンだけだが、モディ政権のコロナ対応を巡る批判の大合唱が広がりつつある。

  モディ首相はコロナ対策会議を開くため、23日に予定していた西ベンガル州の再訪問を取りやめたほか、25日にはワクチン接種を国民に呼び掛けた。これで政権への影響を抑えられるかどうかは、西ベンガルとアッサム、ケララ、タミルナド各州と連邦政府直轄地ポンディシェリーで先月から実施されていた地方選の開票結果が公表される5月2日に分かるかもしれない。

  オディシャ州出身のコミュニティー活動家で、かつてはモディ首相の政策を支持していたパンチャナン・マハラナ氏は「今の重大な時期にモディ首相はコロナ相手に闘うのではなく、票のために闘っている」と主張。国民の生命や生活を守ることに集中すべきだと話す。

As the Virus Surges, Modi Urges India's States to Shun Lockdowns

デリーで酸素ボンベの補充を待つオート三輪内の男性(4月21日)

Photographer: T. Narayan/Bloomberg

  ヒンズー至上主義を唱える与党インド人民党(BJP)に属するモディ首相は、国論を二分する指導者と広く受け止められている。政権1期目は政策でつまずいたものの、2019年の総選挙では政権交代可能な野党の不在で地滑り的勝利を収めた。

  感染拡大が一服していた今年1月に実施された世論調査では、モディ首相の支持率が74%と昨年8月の78%からやや低下したが、それでも驚くほど高かった。コロナ禍がモディ氏への支持に影響するかはなお不透明だ。

  オックスフォード大学で国際開発について教え、ヒンズーナショナリズムに関する著作もあるニキータ・スド氏は「インド国内でコロナ危機管理に対する怒りが噴出しているのは疑いない」と指摘。「こうした憤りが何年も意図的に社会に植え付けられてきたヘイト(憎悪)に勝るのか、一般国民の記憶が十分長く残り、コロナに関係する怒りが選挙の時期に明確に示されるかが問題だ」と語る。

Inside a Crematorium as Daily Virus Count Hits New Record

ニューデリーの火葬場

Photographer: T. Narayan/Bloomberg

  大半がマスクを着用せず、ソーシャルディスタンス(社会的距離)も取らない大群衆にマスクなしで演説するモディ氏の姿は、資金も不足する脆弱(ぜいじゃく)な医療体制の下で、何とか収容能力を高めようと疲弊しながらも奮闘する医師や看護師の映像とはあまりに対照的だった。

  ノッティンガム大学アジア研究所でディレクターを務めるキャサリン・エードニー氏によれば、モディ首相には政策で失敗しても批判をうまくかわしてきた実績がある。16年に発行貨幣価値の86%を占める高額紙幣を突如廃止し、経済と市民を動揺させた例を同氏は挙げる。

  エードニー氏は「モディ首相が自らの目的にかなうのなら州政府や州首相など他の政治主体に責任を負わせるのは容易だろう」と述べた。

原題:World’s Biggest Covid Crisis Threatens Modi’s Grip on India (2)(抜粋)

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