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石油メジャーの1-3月、キャッシュフロー改善も株主還元に至らずか

  • 利益とキャッシュフロー、大幅に改善する見込み-原油価格上昇で
  • コロナ禍で増えた債務削減優先か-還元改善の可能性示唆はBPだけ

昨年記録的に落ち込んだ原油価格が今年に入って回復し、石油メジャーの手元資金についに余裕が生じている。投資家はリターンを切望しているが、大半は失望に終わる可能性が高い。

  新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、石油メジャーの多くが債務を抱えたためだ。原油相場が急落する局面で、配当を賄う資金を借り入れていた。

  株主配当を昨年維持した米エクソンモービルとフランスのトタルは、余剰現金を債務削減に充てる見通し。米シェブロンと英・オランダ系のロイヤル・ダッチ・シェルは自社株買いを再開したい意向だが、まだ実現していない。株主リターンが近く改善される可能性を示しているのは、1年半にわたり配当方針をはっきりさせていなかった英BPだけだ。

  各社が今週発表する1-3月(第1四半期)決算は、利益とキャッシュフローの両方で、不調だった2020年からの大幅改善が示される見込みだが、石油メジャーに対する投資家の不満を変えるものは何もなさそうだ。

  JPモルガン・チェースの欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当石油・ガス責任者、クリスチャン・マレク氏は「持続可能なベースでキャッシュフローとリターンを提供できることを明示できないため、長期投資先としての魅力は限られている」と指摘。「重要なのは一貫性だが、まだそうした状況ではない」と述べた。

Cash Rebound

Free cash flow to rise in 2021 on higher oil prices

Source: Bloomberg's MODL

  JPモルガンは石油業界について、1-3月期が転換点になるとみている。ブルームバーグがまとめた企業データ・予想によれば、石油メジャー5社の今年のフリーキャッシュフローは計800億ドル(約8兆6000億円)と、20年の約40億ドルから増える見通しだ。

  シェルのフリーキャッシュフローは約220億ドルとトップで、エクソンは190億ドル、最下位のBPで約110億ドルが見込まれる。5社それぞれの21年配当計画をカバーするのに十分で、合わせて350億ドル余りが残る計算だ。

  ただ、株主にどれだけ実際に還元されるかは不透明だ。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ウィル・ハレス氏は「力強い1-3月のフリーキャッシュフローの使途について、欧州石油メジャーの優先順位は各社によって異なるだろう」と予想。「債務目標を達成したBPは自社株買い再開を打ち出す見込み。シェルは若干の増配を発表したものの、650億ドルの純債務目標を考えれば、自社株買いを再開する可能性は低い」との見方を示した。

Dividend Bill

Exxon's 2021 payout is largest of the majors

Source: Company reports

  一方、北米勢は昨年、配当をどうにか維持したものの、高いコストを支払った。エクソンの債務はコロナ禍の間に40%増の730億ドルに膨らみ、同社の債務格付けをムーディーズ・インベスターズ・サービスは過去1年に2回引き下げている。

  エクソンの1-3月決算は5四半期ぶりに黒字を回復する見込み。同社は原油・ガス価格が現在の水準にとどまれば、債務を返済しながら150億ドルの年間配当を維持できるとの見通しを示している。

原題:
Big Oil Sees Cash Rolling In, But Investors Won’t Get It Yet(抜粋)

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