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ソフトバンクが描く「配膳ロボット」の未来、日本が先駆ける新市場

  • 欧米のようなロックダウンなく急速に普及する日本、米中も注目
  • ゴルフ場やカラオケ店に活用が広がる可能性、市場規模は数千億円も

飲食業界で今、配膳ロボットの導入が急速に進んでいる。ソフトバンクグループでロボット事業を統括するソフトバンクロボティクスグループの坂田大常務執行役員兼CBO(最高ブランド責任者)は、配膳を含むサービス・ロボットの潜在的な国内の市場規模を数千億円と試算し、2021年を「配膳ロボット元年」と位置付ける。

Monogatari Corp. handouts

「焼肉きんぐ」の配膳ロボット

Source: Monogatari Corp.

  ソフトバンクロボティクスは、米国発の配膳ロボット「Servi(サービィ)」を国内で販売する。昨年9月の試験導入以降、全国にチェーン展開する焼肉きんぐデニーズ大戸屋など100を超すレストラン・ブランドに納入した。坂田氏によると、今後半年で地方の中小規模店にも導入の見通しだ。

  飲食業界におけるサービス・ロボットでは、日本は欧米などをリードしている。人との接触を減らすニーズが強まる中、人手不足という課題が後押しするほか、欧米のように厳しいロックダウン(都市封鎖)がないことも幸いした。 

  坂田氏は「元々生産性向上が一番大きかったが、非接触とか衛生・安全のニーズが高まり、一気に導入が進んだ」とみている。配膳ロボットは「経営課題に直接回答を出すところが従来のロボットと違う」とし、同社の人型ロボット「Pepper(ペッパー)」との違いを説明する。ソフトバンクロボティクスでは、配膳ロボットをペッパーや清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」に続く第3の柱に育てようとしている。

  会社員の斉藤智恵美さん(48歳)は、ランチで訪れた焼肉きんぐ吉祥寺店で初めて見た配膳ロボットについて「コロナで接触は避けたいので、こういうのも良い」と話した。キッチンカウンターから料理を運ぶ配膳ロボットは「まるで回転ずしみたい」だという。

  ソフトバンクロボティクスのウェブサイトによると、料金は3年間のレンタルプランで1台当たり月額9万9800円。坂田氏によると、1台の労働量が店員の1~1.5人に相当する。

世界のサービスロボ市場、今後5年で約3倍も

  ソフトバンクGが出資し、サービィを開発した米ベア・ロボティクスのジョン・ハー最高経営責任者(CEO)はインタビューで、同社のロボットの納入が最も多いのが日本だと明かした。台数は明言しなかったが、3月時点で韓国や米国の数百台を上回る。今年は1万台の出荷を予定し、ソフトバンクロボティクスは年後半にAPAC(アジア太平洋)や欧州でも販売を計画している。

  一方、日本以外でサービス・ロボットの浸透が進むのが中国だ。自律走行ロボットを手掛けるユニコーン企業(起業10年以内で市場価値が10億ドル以上の未上場企業)のキーンオンロボティクスでは今年、前年の2倍に当たる4-6万台のサービス・ロボットの量産を計画している。

  広報担当の池暁敏氏によると、海外の中では特に日本市場を重視しており、同社の配膳ロボット「PEANUT(ピーナッツ)」は、焼肉の和民高島屋玉川店(東京都世田谷区)内のレストランなどで導入済みだ。

  ロボットの導入に前向きなのは飲食業界にとどまらない。コンビニエンスストア最大手のセブン&アイ・ホールディングスはソフトバンクGと協力し、香港のライス・ロボティクスが開発したサービス・ロボットを使い、都内のオフィスビル内で商品配送の実証実験を4月に開始した。

  坂田氏は、モノを安全に運ぶというロボットの技術は汎用(はんよう)性が高いと話す。別の機能を足すことでホテルや小売り、倉庫、ゴルフ場、カラオケ店など幅広い領域に転用でき、事業の発展性に手応えを感じるという。

  調査会社のマーケッツアンドマーケッツによると、運搬、掃除や配膳など世界のサービス・ロボティクス市場は、2020年の370億米ドル(約4兆円)から、5年後の25年には1025億米ドルにまで拡大し、年平均22.6%の高い成長率が予想されている。

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