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インフレ忍び寄る新興国債券、物価連動債を逃避先に見いだす動き

  • インフレ連動債のパフォーマンスは固定利付債を上回っている
  • 南アフリカ共和国の物価連動債、上昇率は新興国の中で最大

世界経済が回復に向かい商品価格が数年ぶりの高値を付ける中、新興国市場の投資家はインフレ懸念に対処する分野に逃避しようとしている。

  今年に入ってからの世界的な債券価格下落やインフレ加速見通しでロシアやブラジルなどさまざまな市場が痛手を受けたが、消費者物価上昇に連動する債券はこうした状況を、通常の債券よりうまく乗り切っている。

  物価上昇圧力はこれまで長い間、多くの新興国市場で債券・通貨の魅力を低下させる要因だったが、ここにきて世界各国・地域のデータが再び警告サインを発している。米国の3月のインフレ率は予想を上回り、メキシコやペルー、ブラジルでもエネルギーや食品の価格高騰で消費者物価指数(CPI)が上昇した。

  一方、金融当局は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う経済的影響を抑えるため、金利の低位維持を求める圧力にさらされている。

  シーポート・グローバル・ホールディングスのストラテジスト、マイケル・ローチ氏は「新興国の政策当局者にとって、景気を刺激する最も容易な方法は金融政策を通じたものだ」とした上で、「これによってインフレ期待は高まり、債券投資家はCPIに連動する債券でプロテクションを得ようとする」と指摘した。

Inflation-linked bonds have mostly outperformed local currency peers

  新興国市場のインフレ連動債では南アフリカ共和国が上昇をリードしている。同国中銀はエネルギー価格上昇を背景にした物価高を抑えられないとの見方が広がっており、インフレ期待を示す5年物ブレークイーブン・レートは4.4%を超えた。懸念は強いものの、基調的な物価上昇圧力が今のところ弱いままのため、3月の実際の物価上昇率は予想を下回った。同国のインフレ連動債(2033年償還)は今年、約6.1%上昇。同年限の固定利付債(約1.9%下落)を大きく上回るパフォーマンスだ。

Linkers have outperformed their nominal counterparts

  インフレ懸念が全世界で強まる状況にあって、当面は投資家がヘッジを求め続ける可能性がある。

  TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏はインフレ連動債について「短期的に一定の力強さが引き続き見られるだろう」とし、「緩和的な金融政策と累積需要、成長加速の見通しが重なり、インフレにとってパーフェクトストームが生じると市場では受け止められている」と分析した。

Bloomberg's commodity index has wavered around levels well below a 2018 high

原題:
Inflation Stalks Emerging Bonds, Pushing Traders to Seek Refuge(抜粋)

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