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「ビズリーチ」のビジョナル買い気配、ソフトバンク来の大型IPO

更新日時
  • 初値は公募価格を43%上回る、知名度の高さやIPO人気が追い風
  • 資金調達額は約682億円、18年のソフトバンク以来の大きさ

転職サイトを運営するビジョナルは22日、東京証券取引所のマザーズ市場に上場した。2年4カ月ぶりの大型の新規株式公開(IPO)となる中、株価は順調なスタートを切った。

  午前の取引開始から買い注文を集め、初値は公開価格5000円に対して43%高の7150円。その後は一時7490円まで上昇した半面、7000円を割り込む場面も出ている。

初値後はやや上値も重く

  同社はプロフェッショナル人材に特化した会員制転職プラットフォーム「ビズリーチ」などを展開する。上場に際しては海外を中心に212万7700株の公募を実施し、別にオーバーアロットメントを含めて1151万5600株を売り出した。公開価格5000円での市場からの資金調達額は約682億円に達する。

Tokyo Stock Exchange Resume Trading A Day After Outage

東京証券取引所

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  ビジョナルの資金調達額は2018年12月のソフトバンク(2兆6461億円)以来の大きさだ。多様な投資マネーが動く大型IPOでは株式市場が盛り上がらない環境だと厳しい。

  過去3年で資金調達額が最大だった企業をみると、Sansanの初値は公開価格比5.8%高と良好だった半面、ソフバンクは2.5%安、雪国まいたけは4.5%安と明暗が分かれた。そうした中でビジョナルの初値上昇率は18年以降の大型上場の中でも突出する結果となった。

■年間で資金調達が最大だったIPO企業(2018年以降)

IPO企業、上場した月、上場市場資金調達額
2018年ソフトバンク(9434)、12月、東証1部2兆6461億円
2019年Sansan(4443)、6月、マザーズ389億円
2020年雪国まいたけ(1375)、9月、東証1部447億円
2021年※ビジョナル(4194)、4月、マザーズ682億円

(出所:日本取引所グループ、※2021年は現在発表分)

  IPO市場そのものは良好だ。13日上場の紀文食品は公開価格に対し、初値は9.6%高と順調にスタート。15日上場のサイバートラストは公開価格1660円に対して初値が4.2倍の6900円となり、その後は一時1万円を突破するほど人気が過熱した。ビジョナルは株式需給という面では重しを抱えていたものの、人気銘柄には資金が集中しやすいIPO環境は追い風となった。

  市場では知名度の高い企業の新規上場を歓迎する声がある。いちよし証券投資情報部の宇田川克己課長は「新型コロナ沈静後の活動再開後を見据えるとプロ人材は不足しがちで、テーマ性がある」と評価し、上場後はリクルートホールディングスが比較対象となる可能性があるともみる。

  松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは初値について、「このところのIPOの初値上昇率が2倍や3倍といった銘柄がある中で、上場前の時価総額1000億円超で株数が多いことも考えると堅調な出足」と語る。転職に興味のある人材を囲っている競争の優位性などが評価されたと言う。

株価は午後から伸び悩み

  もっとも、株価は午後になってやや伸び悩み傾向も示している。松井証の窪田氏は、人材業界はネット企業と違って急激に伸びにくいと指摘。大手との間で先行きの競争環境が厳しくなることなどを勘案すると、「初値はそれなりに評価されたと言える」とも分析した。

  ビジョナルの2021年7月期は売上高が前期比3.2%増の267億円、営業利益は同56%減の9億6000万円の見込み。今後の事業成長に必要な広告宣伝やプロダクト開発、採用活動などの先行投資を行うことが利益面に響く。

  ちばぎんアセットマネジメント調査部の奥村義弘氏は人材業界について、「新型コロナで足元の雇用環境は厳しい」と語る。米国などをみても雇用が100%回復するシナリオが描きづらいだけに、今後はマーケットの選別色が強まる可能性があるという。そうした中で、「コロナ後を見据えた新しい働き方、中途採用が広がる流れに応えられるような企業には評価余地がある」とみていた。

(株価を更新し、8段落以降に市場コメントを追加します)
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