日米首脳、台湾海峡の平和と安定の重要性確認-共同声明にも明記
延広絵美-
中国の「地域の他者に対する威圧に反対することでも一致」-菅首相
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半導体のサプライチェーンに関する日米協力を強化-バイデン氏
菅義偉首相は16日(日本時間17日)、バイデン米大統領との会談後の共同記者会見で、「台湾海峡の平和と安定の重要性については日米間で一致しており、今回改めてこのことを確認した」と話し中国をけん制した。
台湾については、共同声明にも明記した。日米首脳の共同文書で台湾に言及するのは、日中国交正常化前の1969年11月以来。

菅首相とバイデン米大統領
Photographer: Doug Mills/The New York Times/Bloomberg
菅首相は「東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試み、そして地域の他者に対する威圧に反対することでも一致した」と述べた。尖閣諸島への日米安全保障条約第5条の適用を含め、米側が日本の防衛にコミットしていることも確認した。
バイデン大統領は「中国からの挑戦や、東シナ海や南シナ海などの問題、北朝鮮の問題に対処し、自由で開かれたインド太平洋の将来を確実にすることに自分と菅首相はコミットしている」と述べた。新型コロナウイルスのパンデミックを制御するために協力し、半導体のサプライチェーンに関する協力を強化することでも日米で一致したという。
主な発言 |
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菅首相は外国首脳として初めてバイデン氏と対面で会談した。中国を巡る諸課題に加え、自由で開かれたインド太平洋の推進、新型コロナウイルス対策や気候変動などがテーマとなった。
バイデン大統領がアフガニスタンからの米軍完全撤退を発表した直後に行われた会談のタイミングは、大統領が米国の外交政策の重心をインド太平洋にシフトする決意であることを最も目に見える形で示すサインと言えそうだ。
ただ中国について重要な合意は、新たに発表されなかった。日本は中国の動きを抑止する一方で、最大の相手国である同国が反撃することがないよう、バランスを取る必要がある。記者の質問に対し菅首相は、台湾海峡情勢を巡ってバイデン大統領と交わした外交的やり取りの詳細を明らかにすることはないと話した。
共同声明の要点 |
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バイデン政権は中国に対抗する競争力強化に加え、地球温暖化対策を重要課題に据える。日本は2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を設定しているが、30年までの排出削減に向けた取り組みが不十分だと批判されてきた。
今回の会談では、気候変動に関する日米パートナーシップ創設で合意した。バイデン氏は「日米はともに2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロの達成にコミットし、そのためには30年の目標設定と達成が必要であると認識している」と強調した。
両政府は共同声明に関連して競争力や気候変動に関する二つの別添文書を発表。デジタル分野での競争力を強化するため、5Gなど次世代移動体通信網を含む安全なネットワークの研究、開発などに米国は25億ドル(約2700億円)を、日本は20億ドル(2200億円)を投ずる方針を示した。
別添文書の要点 |
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