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国内生保の運用計画、ヘッジ米債へシフトか-15年以来高利回りに妙味

  • 米10年債はヘッジ後の利回りが年初の3倍弱、国内30年債の約2倍に
  • 米長期金利上昇でもヘッジコストは約6年ぶり低水準

国内の主要な生命保険会社は2021年度の資産運用計画で、為替差損の回避措置(ヘッジ)を講じた米国債への投資を増やす可能性が高い。今年に入ってからの米長期金利の大幅な上昇に伴い、ヘッジ後の利回りが15年以来の高水準となっているためだ。

  三井住友DSアセットマネジメント運用部外債アクティブグループヘッドの国部真二氏は、生保の外国債券運用について。「米長期金利が上がっていてヘッジコストも安いので、安全性を考慮してヘッジをかけても非常に魅力的だ」と指摘。「信用スプレッドが縮んでいるクレジット物でリスクを取らなくても、これだけ金利があれば流動性が高い米国債に妙味がある」と語った。

  国内生保は21年度の資産運用計画を来週から相次いで明らかにする見通しだ。国内の低金利環境が長期化する中、保険商品などの契約者に支払う義務がある予定利率を確保するため、各社は為替差損リスクを抑えつつ、外債にも分散投資をしている。

  米10年物国債利回りから為替ヘッジコストを差し引いた利回りは年初に0.5%未満だったが、3月末には約1.4%と15年末以来の高水準を付け、その後も高止まりしている。これは生保が主な買い手となる日本の30年物国債利回りの約2倍に当たる。

ヘッジ付き米10年債と日本国債30年物の利回り

  世界景気の回復期待や米政府のインフラ投資構想などを背景に、米10年物国債利回りは3月末に1.7%台後半と昨年の低水準から3倍以上の水準に達している。一方、米短期金利は米連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和の長期化で過去最低圏にとどまり、日米の短期金利差とドルと円の需給格差で決まる為替ヘッジコストは0.3%台と15年1月以来の低水準で推移している。

  バークレイズ証券の門田真一郎チーフ為替ストラテジストは「FRBが23年までは利上げしない見通しを示しているのでヘッジコストが安く、長期金利との差が開いている」と指摘。生保を取り巻く運用環境は「ヘッジ後の利回りはここ数年でもかなり良く、資金が流れやすい状況だ」と言う。  

  ただ、生保の運用計画が外債一辺倒になることはなさそうだ。ヘッジコストの基となる米短期金利が将来も上がらないという保証がないためだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介債券ストラテジストは「ヘッジ米債は日本国債と比べた利回り改善で生保の投資姿勢は積極化するだろうが、満期償還より前に米利上げでヘッジコストが上がり始める可能性がある」と指摘する。

  ニッセイアセットマネジメント債券運用部の三浦英一郎リードポートフォリオマネジャーも「生保勢の運用計画でヘッジ外債は全般的に増えるだろうが、ヘッジコストは将来は上がる可能性があるため、各社が運用計画でどれくらい増やしてくるか注目したい」と述べた。

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