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デジタル人民元が「世界を席巻することはない」-日銀局長一問一答

日本銀行の神山一成決済機構局長は、ブルームバーグとのインタビューで、4月から実証実験がスタートした中央銀行デジタル通貨(CBDC)について、民間サービスとの関係や日銀の取り組み姿勢などについて語った。インタビューは14日に実施した。詳細は以下の通り。

インタビュー記事はこちらをご覧ください。

―4月から実証実験がスタートした

「基本機能の検証を行う第1段階を1年間で終え、第2段階では、例えば、基本機能に付加する利用上限の設定や外部システムの接続などについて技術的に可能かどうか検証を行う予定。さらに必要であれば民間の事業者、消費者を巻き込む形でのパイロット実験に入るが、現段階でパイロット実験のスケジュールや具体的な内容についてイメージは持っていない」

―第2段階で付加する機能は?

「金融システムへの影響や資金洗浄(マネーロンダリング)防止への対応などを踏まえた保有上限・利用上限の設定、民間や日銀ネットなど外部システムとの接続などについては、優先して検証に取り組みたい。オフライン機能に対するニーズも高いと思うが、災害などで電力・電波が途絶しても現金が使えるとの議論もあり、最初の段階から付加すべきかは分からない」

―実証実験にあたり、民間との協議の場として連絡協議会を設置した

「取りあえずは預金取扱金融機関とノンバンクの資金決済事業者を対象にしたが、今後の状況次第で将来の参加メンバーが替わることは当然あり得る。第2段階で機能の拡張を考えていく中では、いろいろな方が関心を持つと思っている。その方々の参加をあらかじめ排除するものではない。今後、参加者が多様化することはあり得る」

―デジタル通貨の開発が進んでいる民間とのすみ分けは?

「民間ビジネスへの影響は、先進国のCBDCの検討において最も重要な論点。先進国の中銀は、民間部門の前向きな活動をサポートする立場だ。CBDCと民間とのサービスが共存・補完し合う形をしっかり作っていかなければならない」

「われわれが決済の基盤を提供し、その上でユーザーが必要なサービスを提供するのが民間の事業者だ。民間事業者の方々が知見・技術を生かしつつ、新しい決済サービスを作り上げていかれることを期待しており、われわれもCBDCをもとにサポートしていきたい。われわれだけではいい決済サービスは作れないので、民間の事業者の方々がいろいろな議論をしてくださるのは非常にありがたい」 

―CBDC発行に向けた日銀のスタンスは?

「現時点で分かっている技術や内外の状況を踏まえると、CBDCが将来の決済システムの一つのパーツになる可能性は相応にある。そうであればしっかり準備をしていくことは中銀としての責務だ。他方、日銀として具体的な発行の計画がないことに変わりはない」

「効率性・安全性の高い決済システムを作る場合に、民間だけでは信用面やコスト面で難しく、公的なサポートが必要という時に初めて、中銀など公的主体が出てくることを検討すべきである。だからといって、現状、中銀が出ていく可能性が低いかというと、これまでよりも高まっている。決済システムの基盤部分は中銀が提供しなくてはいけないのではないか、という議論は以前よりも世界的に強まっていると思う」 

―日銀の取り組みは他国より遅れているとの指摘がある

「日銀はCBDCの検討を今始めたわけではなく、数年前から行っている。ホールセールの分野では、欧州中銀との間で分散型台帳技術などについての実験を行い、基礎的な研究を進めてきた。一般利用型CBDCについては、昨年に7つの主要中銀と国際決済銀行(BIS)との間で先進国としての検討がスタートし、将来の決済システムを先進国においてどのように作っていくかといった議論も行っているところ。そうした議論において日銀が遅れているという認識はない」 

―中国がデジタル人民元のパイロット実験を始めるなど先行している

「中国はデジタル人民元のローンチに向けて準備を進めていると認識しているが、技術は常に変革していくもの。大切なことは決済システムを常に進化させていくことだ。各国の中銀が決済システムの改善に取り組み続けるのであれば、特定の国のCBDCが世界を席巻することはないだろう」

「ドルが基軸通貨である状況は簡単には変わらない。輸出入における中国のウエートが高まる中で貿易決済において人民元の利用が増えてもおかしくないとの議論はずっとある。しかし、資産の保有、価値の保蔵という観点では、自由に移動できる、資本移動が制限されていない通貨でないと安心して利用することはできない」

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