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東芝が綱川体制で再出発、株主との関係改善や経営計画見直しへ

更新日時
  • 企業価値の向上が責務、株主ともコミュニケーション取る-綱川社長
  • キオクシアは「上場に協力」、外資メーカーへの直接売却考えず
車谷暢昭社長

車谷暢昭社長

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

東芝は14日、車谷暢昭代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)が同日付で退任すると発表した。同日午前の臨時取締役会で車谷氏本人から辞任の申し出があり受理した。取締役も辞任する。後任には綱川智会長が就くことも決めた。綱川氏は株主との関係改善や経営計画の見直しを進める。

  綱川氏は同日の会見で、「私に課せられた喫緊のミッションは、定時株主総会やCVCからの買収の初期提案などへの対応」とし、株主とも対話して企業価値を向上することが責務だと述べた。必要に応じ車谷氏が中心となって策定した中期経営計画の見直しにも踏み込む方針だ。東芝は英投資会社CVCキャピタル・パートナーズから買収の初期提案を受けている。 

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車谷暢昭氏(左)と綱川智氏 (2018年2月)

  同席した永山治取締役会議長は、CVCからの初期提案は経営体制(車谷体制)の維持が前提条件となっており、「辞任を受けてCVCがどう考えているかは分からない」と説明した。車谷氏が日本法人の会長兼共同代表を務めていた会社からの提案で利益相反が指摘されていることについて、本人の申し出による辞任であり関係はないと思うとし、CVCからの正式提案を待つ姿勢を示した。

  綱川氏は経営改革や東京証券取引所1部市場への復帰など車谷氏の功績に謝意を表明。その上で中計については、新型コロナウイルスや米中貿易摩擦など環境変化に応じて「適宜見直す」とし、研究費の見直しにも言及した。企業の合併・買収(M&A)は、実現性や内部収益率(IRR)の観点から「株主目線でもう一度レビューしたい」と述べた。

  東芝が40%を出資する半導体メモリーのキオクシアホールディングス株式については、「上場には協力するという姿勢が基本」とし、海外の半導体メーカーへの直接の売却などは考えていないと話した。東芝はキオクシアHD株の売却益を株主還元に充てる方針を示している。

  車谷氏を巡っては、幹部社員らを対象とした社長の信任調査で「不信任」との回答が過半に達していた。事情に詳しい複数の関係者によると、不信任の割合は過去の社長の信任調査と比べ群を抜いて高く、会社側が策定する取締役選任議案に影響を与える可能性があった。綱川氏は7日に執行役に復帰していた。  

東芝幹部の過半が車谷社長に「不信任」、社内調査で判明-関係者

  3月18日の臨時株主総会では、昨年の定時総会での取締役選任を巡る再調査などを求める筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントからの提案が可決。2017年に実施した第三者割当増資を引き受けた物言う株主(アクティビスト)との対立関係も鮮明になっていた。

  その後4月7日には、CVCからの買収提案が判明。米投資会社KKRも買収を検討していることが明らかになっている。買収額の規模はCVCが既に提示している210億ドル(約2兆2900億円)の案を上回る可能性が高いという。

  車谷氏は18年に会長兼CEOとなった後、綱川氏に代わり20年に社長に就任。事業売却などの構造改革を進めるなど収益力の改善に取り組んだ。今年1月には東証1部市場への復帰も果たしていた。

  東芝の株価は14日の取引で、一時前日比8.3%高の4975円と2015年4月23日以来、約6年ぶりの日中高値を付けた。

  • 綱川智(つなかわ・さとし) 1979年に東芝入社。医療機器を手掛ける東芝メディカルシステムズ(現キヤノンメディカルシステムズ)社長や上席常務を経て16年6月に社長に就任した。20年4月には取締役会長に就いた。
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(会見の内容を追加して更新します)
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