1-3月の国債リターンは日中が1、2位-低ボラティリティーも有利
Masaki Kondo-
中国国債は1-3月に1%値上がり、唯一のプラス
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日本国債は44市場中で最もボラティリティーが小さかった

世界的に債券が売られた1-3月は、中国国債の好調さが際立った。先進国では日本国債が最も好成績だったが、若干のマイナスリターンとなった。
新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、景気持ち直しの兆しが出る中で、世界的に国債利回りは上昇した。世界の債券から成るブルームバーグ・バークレイズ指数は1-3月に5.5%低下し、過去4年間で最悪の四半期となった。日本と中国の国債はまた、ブルームバーグが追跡した44の債券市場の中でもボラティリティーの小ささが目立ったという点でも有利だった。

ブルームバーグ・バークレイズ指数のデータに基づくと、中国国債は1-3月に1%値上がり。世界の主要20債券市場の中で唯一の上昇となった。他国の国債相場との関連性の薄さが、世界的な債券売りの中で投資家が資金を投じる代替投資先になりやすかった。資金調達環境がタイトになりそうだとの懸念から弱含んでいた中国国債だったが、3月だけで0.9%上昇した。
オーバーシー・チャイニーズ銀行の大中華圏リサーチ責任者、謝棟銘氏は「中国人民銀行(中央銀行)が流動性を引き締めるとトレーダーが見越したため、春節(旧正月)連休前に売られ過ぎた」と分析。「今は引き締めは織り込み済みで、中国国債は強靭(きょうじん)かつ安定的になった」と述べた。
日本国債の1-3月はマイナス0.4%だったが、それでも中国に次ぐリターン2位だ。国内経済へのコロナ禍の悪影響を和らげるため、日本銀行が講じている国債利回りを低水準かつ安定的に維持する取り組みが売りを抑えた。対外収支の黒字も支えとなった。
三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジストは、日中ともに経常黒字が大きく、海外投資家よりも安定性が高い国内資金の存在感の大きさが債券市場のボラティリティーに影響していると指摘。今後も世界的な「景気回復から長期金利に上昇圧力がかかり続けることから、1-3月ほどの極端な差は出なくても似たような状況が続く」とみているという。
入手可能なデータに基づくブルームバーグの分析によれば、日本国債は44市場中で最もボラティリティーが小さかった。1-3月は1日当たりの利回り変化の標準偏差(年率換算)がわずか19ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。中国国債は25bpだった。日中いずれも米国債の75bpを大きく下回った。

原題:China Bonds Beat World While Japan Outpaces Developed Markets(抜粋)